直り(読み)ナオリ

デジタル大辞泉 「直り」の意味・読み・例文・類語

なおり〔なほり〕【直り】

もと状態に復すること。
(ふつう「治り」と書く)病気けがが回復すること。「けがの直りが早い」
劇場寄席などで、より上等な席に移ること。
鉱床中の特に鉱石の多い部分。

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精選版 日本国語大辞典 「直り」の意味・読み・例文・類語

なおりなほり【直・治】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「なおる(直)」の連用形の名詞化 )
  2. ( 治 ) 病気などがなおること。なおったこと。回復。
    1. [初出の実例]「Naori(ナオリ)ガ ハヤイ」(出典:改正増補和英語林集成(1886))
  3. 身分の高い人が来ること。「おなおり」の形で用いられる。
    1. [初出の実例]「当寺へ肥前の国より尊き法師のお直(ナホ)りに」(出典:歌舞伎筑紫巷談浪白縫黒田騒動)(1875)序幕)
  4. 遊里・劇場・寄席などで、下等な店や席から上等なところへ移ること。
    1. [初出の実例]「盛久〈略〉きん山とのの座敷へ御直りお手からお手から」(出典:洒落本・交代盤栄記(1754))
  5. 鉱床のなかで、特に鉱石の多く含まれている部分をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「直り」の意味・わかりやすい解説

直り
なおり

鉱床中の鉱石品位の高い富鉱体に使う日本古来の鉱山用語。鉱床中の鉱石の品位はどこも同じということはない。多くの場合、ある部分では鉱体規模が大きく鉱石品位も高いが、ほかの部分では採掘限界品位以下で採掘の対象とならない。鉱床中で鉱石品位が高く経済価値の高い鉱石の部分を富鉱体とよぶが、日本の鉱山ではこれを「直り」ということがある。大規模な直りは「大直り」というが、外国ではボナンザbonanzaとよぶ。2枚の鉱脈が交差した所にできる富鉱体は「落合(おちあい)直り」という。直りを発見すると鉱山の経営が楽になるので、山神に御神酒(おみき)を捧(ささ)げて大直りの発見を感謝することがある。

[武内寿久祢・金田博彰]

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