相次ぐ食品不正表示(読み)あいつぐしょくひんふせいひょうじ

知恵蔵 「相次ぐ食品不正表示」の解説

相次ぐ食品不正表示

崎陽軒はシューマイなどの22品目で誤表示があったことが2007年11月下旬に発覚。例えば「かにシウマイ」では原材料を「カニ、豚……」の順に表示していたが、実際の重量は逆。原材料は重量順に表示することを定めた日本農林規格(JAS)法違反の疑いがある。同じく11月下旬マクドナルドの東京都内4店舗でシェーク飲料やサラダに賞味期限切れの食材を使用した食品衛生法違反の疑いがあることや調理日時の表示改ざんを6年前から行っていたことが発覚した。 高級料亭を展開する大阪市の「船場吉兆」は、牛肉商品を実際は九州産を仕入れていたにもかかわらず但馬牛と偽って販売、鶏肉も地鶏と偽って実際はブロイラーを販売していた産地偽装が07年10月に発覚。さらにプリンなどの菓子類や黒豆などの惣菜類の消費・賞味期限偽装も発覚。売れ残り商品はラベルを張り直して期限を改ざん、栗の甘煮では賞味期限を117日も過ぎていたことが確認された。秋田県大館市の鶏肉加工販売会社「比内鶏」は、肉・卵の薫製商品や団子・つみれなどを比内地鶏商品と偽って実際には比内地鶏を全く使っていなかった原材料偽装販売が10年にも及んでいたことが発覚。廃鶏や別の鶏肉などを使用していた。また、独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構」のサンプルDNA調査で、両親鶏とも純血種であることが決め手名古屋コーチンも大手の生産・販売業者の商品などで「にせコーチン」と判別されて偽装問題が浮上している。鹿児島市のデパート山形屋は、インターネット上で鶏肉を地鶏と表示して売った疑いで8月に公正取引委員会の事情聴取を受けていた。ダスキンは「ミスタードーナツ」で販売している乳飲料フルーティミルクに賞味期限切れの味付けシロップを原料として使用していたことが10月に判明、販売を中止した。 餅菓子のしにせ「赤福」は「赤福餅」の製造日の表示を、冷凍保存していたものは解凍出荷した日付に新しく変え、それと共に消費期限も変えていたことが10月に発覚。三重県・伊勢保健所は赤福から解凍日を製造日とすることについての相談を受けていたが日本農林規格(JAS)法違反を見過ごした。売れ残った商品を回収し原材料を再利用していたことも発覚。同社は原材料名表示も間違っていた。名古屋市消費生活センターの分析で「1本で1日分の野菜」「1日分の緑黄色野菜」などと表示のある野菜ジュース類の多くが、厚生労働省が推奨する目標値1日の野菜摂取量350gや緑黄色野菜120gから得られる栄養成分を満たしていないことが分かった。ほか、宮城県仙台市の精肉処理業者「トーチク」は賞味期限の切れた牛タンや牛肉を原料とした加工商品「炭焼き牛タン」「牛タン甘辛仕立て」などを販売。期限切れは最長で8カ月の物もあったという。同社で自主回収した。また、北海道の石屋製菓はチョコレート菓子「白い恋人」の賞味期限を改ざん。10年ほど前から不正行為は行われていた。工場の操業を停止、07年10月下旬の再開を目指す。また、不二家はシュークリームの製造過程で消費期限切れの牛乳を使用したことなどが06年11月に発覚し、07年1月から3月まで生産・販売を中止した。さらに、「新潟県(魚沼)産コシヒカリ」と表示する米袋に「ひとめぼれ」などの他品種を混ぜているコメの品種表示偽装も、関東農政局の米穀販売店立ち入り検査で突き止められている。

(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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