ダイズの一系統で、種子(豆)が黒色の品種を一般に黒豆とよんでいる。数品種あるが、丹波(たんば)黒豆が代表的で、「丹波篠山(ささやま)(兵庫県)の黒豆の煮しめ」は名物とされた。おもな用途は煮豆用であるが、未熟なうちは枝豆にもする。
[星川清親]
黒豆の煮豆は、正月のおせち料理にも用いる。料理法の一例を示すと、黒豆700グラムを水洗いしてざるにあげる。厚手の深めの鍋(なべ)に水12カップを入れて火にかける。沸騰したらいったん火を止め、豆を入れ、食塩大さじ1、砂糖500グラム、しょうゆ半カップ、重曹小さじ1、布袋に入れた錆釘(さびくぎ)十数本を加え、4~5時間つけておく。ふたたび鍋を火にかけ、煮立つ直前に火を弱め、浮いてくるあくをていねいにすくう。半カップの差し水をして、沸騰したらふたたび半カップの差し水をし、落し蓋(ぶた)をして8~10時間煮る。途中で火を消すのはかまわないが、絶対に蓋をとらないことが最大のこつ。こうすれば、豆にしわがよらずにふっくらと煮ることができる。煮汁の量は、ひたひたよりもすこし多めで仕上げる。盛付けには、梅酢で紅色に漬けたチョロギの塊茎を添えれば彩りも美しい。煮汁は水で薄めて黒豆ジュースとして子供のおやつにもよい。
[星川清親]
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報