洋菓子の一種。フランス語のシュー・ア・ラ・クレームchou à la crèmeからの転訛。英米ではクリームパフcream puffと呼ぶ。小麦粉,バター,卵などを合わせたシュー生地を焼くと,まるくふくれる。その形がキャベツ(フランス語でシューchou)に似ているのでこの名がある。焼き上がった皮を切り,あるいは側面に穴をあけて,中の空洞にクリーム類を詰める。変形のものとしては,細長く焼いてクリーム類を詰め,表面にチョコレートをかけたエクレアéclair,白鳥や花かご形に仕上げたもの,一口大のプチシュー,プチシューをパイの周囲に王冠状に飾ったサントノーレsaint-honoré,たくさんのシュークリームをピラミッド形に積み上げたクロカンブッシュcroquemboucheなどがある。
シュー生地は,基本分量(約15個分)として,なべに水または牛乳250㏄,バター90g,塩少々を入れて火にかけ,沸騰したら下ろしてよくふるった強力粉125gを一度に加えて手早く混ぜる。一塊になったらふたたび火にかけ,なべ底に薄膜ができるまで混ぜ続ける。これをボウルに移して,溶き卵を1個分ずつ3~4個加えながらよく混ぜ合わせ,木じゃくしですくい上げて,垂れ落ちるのに2~3秒かかるまでにする。この生地を口金をセットした絞出袋に詰め,バターを塗ったオーブンプレートに直径5cmくらいの円形に絞り出し,約200℃のオーブンで20~30分焼く。焼き上がると1.5倍ほどにふくらむので,じゅうぶん間隔をとっておく。シューの横を押して固ければオーブンから出してもしぼまない。冷めたら底近くに切込みを入れるか,口径の細い口金を使いカスタードクリームやクレームシャンティイ(クリーム)を詰める。
執筆者:辻 静雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
キャベツの形をした皮の中にクリームを詰めた菓子。シューchouxはフランス語でキャベツの意。丸く絞ったシュー生地がオーブンの熱によって膨らみ、独特のキャベツ型になって、中に空洞ができる。その中にクリームを詰めたのが本来の形であり、くせのない上品な味は世界中で好まれている。歴史的にはフランスが古く、17世紀くらいからある菓子の一つである。
シューの皮8~10個分をつくるには、まず鍋(なべ)に水100ccとバター40グラム、砂糖、塩を入れ、バターが溶け湯が沸騰したところへ、ふるった薄力粉60グラムを一度に入れ、木杓子(きじゃくし)で手早く1~2分かき混ぜる(練りものが鍋の底から離れ、べとつかずボール状の粘度をもつのがよい)。鍋を火から下ろして80℃くらいに冷めたところへ、割りほぐした卵(2個)を4~5回に分けて加える。卵の量は、入れすぎても不足しても特有の形はできない。天板に油を引いて、直径3センチメートル大のシュー生地を、十分に間隔をあけて10個分絞り出す。200℃のオーブンで15分くらい焼き十分に膨らませ、130℃にして15分焼く。オーブンに入れる前のシュー生地に、卵液の残ったものを塗るか、表面に霧を吹き付けるとつやが出る。
中に詰めるカスタードクリームは、卵黄2.5~3個、砂糖60~70グラム、薄力粉25~30グラム、牛乳200ccをあわせて煮立て、冷ましてバニラエッセンス小さじ1、キルシュかラム酒を加える。泡立てた生クリームを半量入れると、さらにおいしくなる。シュー皮にカスタードクリームを詰め、表面に粉砂糖をふる。シュー生地を利用してエクレア(細長くしてチョコレートをかける)、スワンシュー(白鳥の形にしたもの)、リングシュー(輪形に焼き上げる)など好みのものができる。
[小林文子]
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