眼の化学外傷(読み)めのかがくがいしょう(英語表記)Chemical injury to the eye

六訂版 家庭医学大全科 「眼の化学外傷」の解説

眼の化学外傷
めのかがくがいしょう
Chemical injury to the eye
(外傷)

どんな外傷か

 救急外来に多い外傷のひとつですが、原因となった化学薬品により予後が大きく違ってきます。また、受傷直後の応急処置が非常に重要です(図19)。

原因は何か

 労働災害のほか、家庭用洗剤の眼部飛入なども原因のひとつになっています。

症状の現れ方

 化学薬品には主に酸とアルカリがあります。酸はアルカリと比べ組織透過性(とうかせい)が低いために、障害が組織表面にとどまることが多く、アルカリは組織浸透性(しんとうせい)が高いために、障害が短時間に生じるといわれています。

 症状は受傷直後からの眼痛流涙(りゅうるい)充血などです。眼の損傷の程度が強ければ、角膜混濁(かくまくこんだく)緑内障(りょくないしょう)白内障(はくないしょう)、ぶどう膜炎などの合併症を生じ、視力の低下を来します。

検査と診断

 問診で飛入した薬品の種類を特定し、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で眼の表面の損傷の程度、眼内への浸透の程度を診察し、早急に処置を行うように準備をすすめます。

治療の方法

 受傷した眼の予後は、その原因となっている薬剤にどの程度の時間接触していたかによって大きく左右されます。

 そのため、受傷したらホースやシャワーなどを用いて、水道水で最低10分間は洗眼してから医療機関を受診するようにします。

 受診直後から生理食塩水などを用いて洗眼を始め、重症の場合は入院して持続洗眼を行います。十分な洗眼後は点眼治療による消炎、感染予防、眼痛の軽減を図りますが、重症の場合は手術療法が必要になることもあります。

応急処置はどうする

 前述したとおり、可能なかぎり受傷後早期から洗眼を始め、化学薬品の組織への浸透を最低限にとどめるように努めることが重要です。その際、痛みを伴いますが、眼を大きくあけた状態で洗うようにしてください。

坪田 一男, 鹿島 みのり


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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