中国、宋(そう)代の天台宗の僧。字(あざな)は約言(やくごん)、俗姓は金氏。四明(しめい)(浙江(せっこう)省寧波(ニンポー)府)の人で、四明尊者と尊称される。太平興国寺の洪選(こうせん)のもとで出家し、律を学んだ。20歳のとき義通(ぎつう)(927―988)に就いて天台を学んだのち、991年(淳化2)乾符寺(けんぷじ)に住し、さらに995年(至道1)には保恩院(ほうおんいん)に移り、以後ここに住し教化に努めた。1000年(咸平3)作の『釈難扶宗記(しゃくなんふしゅうき)』2巻をはじめ、『十不二門指要鈔(じっぷにもんしようしょう)』『四明十義書』『観心(かんじん)二百問』などを著して、同じ天台宗の晤恩(ごおん)(911/912―986)、源清(げんせい)(?―997)、慶昭(けいしょう)、智円(ちえん)らの山外(さんがい)派を論破し、ここに山家山外(さんげさんがい)論争を展開した。知礼の系統を山家派という。また、1003年日本から27条の問書があり、これに答えた。1020年(天禧4)真宗(しんそう)皇帝から法智(ほうち)大師の号を賜った。著書には、前記のほかに『観経疏妙宗鈔(かんぎょうしょみょうしゅうしょう)』3巻、『観音玄義記(かんのんげんぎき)』2巻、『金光明文句記(こんこうみょうもんぐき)』6巻などがある。知礼に関する文書を集めたものに、宗暁(しゅうぎょう)(1151―1214)の『四明尊者教行録』7巻がある。
[池田魯參 2017年3月21日]
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