日本大百科全書(ニッポニカ) 「石館守三」の意味・わかりやすい解説
石館守三
いしだてもりぞう
(1901―1996)
薬学者。青森市の薬業家に生まれる。東京帝国大学卒業。朝比奈泰彦(あさひなやすひこ)に師事。樟脳(しょうのう)の生化学的研究により薬学博士。ハイデルベルク大学のR・クーンに生化学を学び、またウィーンのフィグルFriedrich Feigl(1891―1971)、チェコのヘイロウスキーのもとで有機微量分析を研修した。1941年(昭和16)東京帝国大学教授。薬品分析化学講座を創設。1944年「樟脳の体内変化と強心作用の本態の研究」により帝国学士院賞を受けた。研究歴は、癌(がん)の化学療法としてナイトロジェンマスタード‐N‐オキサイドの創製、グルクロン酸の製造とその臨床応用などである。1961年東京大学名誉教授。国立衛生試験所(現、国立医薬品食品衛生研究所)所長、中央薬事審議会長、日本薬学会頭、日本薬剤師会長、分析化学会長、癌学会長を歴任。パリ大学名誉博士。日本、アメリカ、イギリス、フランス各薬学会名誉会員。著書に『微量定性分析』『生活環境と発がん』などがある。
[根本曽代子]