四面銅鉱は族の名称(tetrahedrite group)となり,tetrahedriteはその中の安四面銅鉱系(tetrahedrite series)の名称でも使われる。四面銅鉱族は,一般化学組成式,M(2)A6M(1)(B4C2)∑6X(3)D4S(1)Y12S(2)Zで表され,A = Cu+, Ag+, □(空席); B = Cu+, Ag+; C = Zn2+, Fe2+, Hg2+, Cd2+, Mn2+, Cu2+, Fe3+; D = Sb3+, As3+, Bi3+, Te4+; Y = S2−, Se2−; Z = S2−, Se2−。安四面銅鉱系の種名として,例えばtetrahedrite-(Fe)(Cu6(Cu4Fe2)Sb4S13),tetrahedrite-(Zn)(Cu6(Cu4Zn2)Sb4S13)のように接尾辞をつけて使われる。他の系として,砒四面銅鉱系(tennantite series)(tnennnantite-(Zn),Cu6(Cu4Zn2)As4S13など),フライベルグ鉱系(freibergite series)(argentotetrahedrite-(Fe),Ag6(Cu4Fe2)Sb4S13など),砒フライベルグ鉱系(arsenofreibergite series)(argentotennantite-(Zn),Ag6(Cu4Zn2)As4S13など),ハク鉱系(hakite series)(hakite-(Hg),Cu6(Cu4Hg2)Sb4Se13など),ジロー鉱系(giraudite series)(giraudite-(Zn),Cu6(Cu4Zn2)As4Se13など),ロジデストベンスカヤ鉱系(rozhdestvenskayaite series)(rozhdestvenskayaite-(Zn),Ag6(Ag4Zn2)Sb4S13など),ズベストフ鉱系(zvěstovite series)(zvěstovite-(Zn),Ag6(Ag4Zn2)As4S13)がある。また,D席にTe4+が主成分として入るものは未指定構成種(unassigned member)(goldfieldite,(Cu4□2)Cu6Te4S13など)とされる。
執筆者:松原 聰
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
化学式Cu10(Fe,Zn)2Sb4S13の鉱物。SbをAsが置換したヒ四面銅鉱tennantiteとの間に完全固溶体をつくり,合わせてファレルツFahlerzとも呼ばれる。少量のAg,Hg,Pbが金属原子を置換するが,Agが多量に置換したものはフライバージャイトfreibergiteとして知られる。等軸晶系。自形は(111)の正四面体が比較的ふつうで,これが鉱物名の由来でもある。また不規則な粒状ないし緻密な塊状でも産す。割れ口は貝殻状でもろい。モース硬度3~4,比重4.6~5.2。灰黒~鉄黒色,組成によりHgを含むとき褐色み,Asが多いとき青緑色を帯びる。金属光沢で不透明~半透明を示す。ゆがんだセン亜鉛鉱型結晶構造をもつ。四面銅鉱は最も豊富に産する硫塩鉱物で,銀と銅の鉱石,例えばアメリカのアイダホ州サンシャイン鉱山のフライバージャイトは地球上最も重要な銀の原料である。ふつう銀や銅の熱水性鉱脈,またときに接触交代鉱床などにも見られる。
執筆者:小沢 徹
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