日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルソン銅鉱」の意味・わかりやすい解説
ルソン銅鉱
るそんどうこう
luzonite
銅の鉱石鉱物の一つ。硫砒(りゅうひ)銅鉱とは同質異像関係にあることが合成物で確認されているが、天然では化学的環境に左右されて、生成される相が決定される。たとえば台湾の金瓜石(きんかせき)鉱山ではルソン銅鉱と硫砒銅鉱が共存し、この場合前者が少量のアンチモンを選択的に取り込むことで安定化しているが、後者はアンチモンをほとんど含まない。中~高温熱水鉱床中に産し、比較的高い硫黄(いおう)蒸気圧条件下の産物。自形は正四面体に近い正方四半面体であるが、きわめてまれである。日本の産地としては北海道札幌市手稲(ていね)鉱山(閉山)が有名。原産地はフィリピン、ルソン島のマンカヤンMancayan鉱山で、命名の由来でもある。
[加藤 昭 2018年12月13日]