改訂新版 世界大百科事典 「磁気探傷」の意味・わかりやすい解説
磁気探傷 (じきたんしょう)
非破壊検査法の一つで,鋼など強磁性体の構造物や機械部品の表面あるいは表面近くにある欠陥を発見する方法。試験体を相当高い磁束密度まで磁化したとき,表面あるいは表面近くに欠陥があると,磁束が試験体の外に漏れ出るという現象を利用するものである。まず,試験体を磁化しなければならないが,その方法としては試験体に直接電気を流して電流の磁化作用を応用したり,コイルの中に試験体をおきコイルに電流を流して磁化したりする。磁束の漏れの検出には磁粉が広く使用されている。酸化鉄などの微粉を試験体の表面にまくと,磁束の漏れているところに磁粉がついて模様をつくり,欠陥の存在を示す。黒色の磁粉を直接見る場合もあるが,磁粉に蛍光材料を混ぜておいて,暗いところで紫外線の下で発生する蛍光を観察する方法もある。磁粉を使用する方法をとくに磁粉探傷ということがある。磁束の漏れの検出法としては,このほかに半導体の検出素子などを利用し電気信号として検出する方法もある。
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報