自然淘汰に対応する概念であり、人間の寿命、出生率、死亡率が、その社会の制度、規範、職業、収入、生活様式などの社会的諸条件によって影響される過程を意味する。具体的には、保健・衛生や医学上の知識、婚姻を規制する法律、一定の租税や賃金などのように、直接的な淘汰を示す事例と、職業上の疾病のように、結果として淘汰の作用を示す事例、の二つの種類がある。ダーウィン主義の影響を強く受けた考え方であり、生存競争と適者生存の結び付きを社会現象のレベルに応用しようとしたグンプロビッチやラッツェンホーファーによって主張されたが、今日ではあまり大きな理論的影響力をもたない。
[田中義久]
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...