神済(読み)かんのわたり

日本歴史地名大系 「神済」の解説

神済
かんのわたり

青海町と富山県の県境をなすさかい川の古名境川本流は現在ほぼ富山県に属するが、近世までは越後越中の国境をなし「国郡考」には「境川は神済なり」と記す。「令義解」(公式令)に「凡朝集使(中略)北陸道神済以北謂、越中与越後界河也皆乗駅馬」とあり、神済は越後・越中の境界をなす境川をさし、ここまでは北陸道の駅家があり、その駅馬を朝集使が使った。しかし神済以東親不知おやしらずより先は、賃乗で里馬を雇わなければならないと指示している。「続日本紀」天平宝字二年(七五八)九月二八日条によると、越前・越中・佐渡などの六国に飛駅鈴一口を授けているが、越後国は除かれている。この頃越後国へは信濃木曾路の駅家駅馬に頼ることが多く、越後国内の北陸道駅家が完成していなかったとみられる。


神済
かんのわたり

「令義解」公式令によれば、「朝集使(中略)北陸道神済以北謂、越中与越後界河也(中略)皆乗駅馬」とみえ、北陸道では越中と越後の境である神済以北は駅馬に乗るよう定められている。「済」字は「万葉集」にも「難波済」としてみえ、「和名抄」では「済」の和名を「和太利」とし、同書が引用する「爾雅注」では「済、渡処也」とする。弘仁一〇年(八一九)五月二一日の太政官符(類聚三代格)にも「北陸道神済以北」と記され、北陸道の地域を分ける重要な場所であったことがわかる。神済は「令義解」に越中と越後の「界河」とあるため、現在の富山県・新潟県境のさかい川をあてる説が一般的である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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