改訂新版 世界大百科事典 「神道伝授」の意味・わかりやすい解説
神道伝授 (しんとうでんじゅ)
神道の秘伝・行事を弟子・門弟に伝えること。中世以降の両部神道,吉田神道などで行われた。とくに吉田神道(唯一宗源神道)を創唱した吉田兼俱は,自己の神道説を秘伝化し,その人の器量,志向の浅深によって秘伝を4重分と,その上に相承分4位の,あわせて8段階に分け伝授した。初重,2重は白紙,3重,4重は水雲紙に書き,切紙を伝授した。伝授された切紙は暗誦し,のちに返納することになっていた。初重の伝授者は,冠と烏帽子の懸緒を1組,2重は4組,3重は8組つけることができ,懸緒のない者は神に向かうことができなかった。江戸時代になってからも盛んに行われ,真言僧慈雲が唱えた雲伝神道でも切紙による伝授が行われた。
執筆者:岡田 荘司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報