神風や(読み)カミカゼヤ

精選版 日本国語大辞典 「神風や」の意味・読み・例文・類語

かみかぜ‐や【神風や】

  1. ( 「や」は間投助詞 )
  2. かむかぜの(神風━)
    1. [初出の実例]「神風やいせの浜辺のあけぼのに霞ふきよる浦の初風」(出典:後鳥羽院集(1239頃))
  3. ( 転じて ) 伊勢皇大神宮の中を流れる「五十鈴(いすず)川」、また、その別名の「御裳濯(みもすそ)川」にかかる。
    1. [初出の実例]「君が代はつきじとぞ思ふ神風やみもすそ河のすまむ限りは〈源経信〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)賀・四五〇)
    2. 「神風やいすず川波数知らずすむべき御代にまたかへり来む〈藤原公継〉」(出典:新古今和歌集(1205)神祇・一八七四)
  4. ( から転じて ) 皇大神宮のある地「山田の原」「宮野の原」や、皇大神宮を表わす「内外(うちと)の宮」「朝日の宮」などにかかる。
    1. [初出の実例]「神風や宮野の原のかるかやをかられて秋も過ぎむものかは〈藤原俊成〉」(出典:五社百首(1190))
    2. 「神かせや朝日の宮の宮うつし影のどかなる世にこそありけれ」(出典:金槐和歌集(1213)雑)
  5. 神の縁で、「豊幣帛(とよみてぐら)」「玉串(たまぐし)の葉」「みつの柏(かしわ)」「八重の榊葉」などにかかり、また「木綿(ゆふ)」と同音を持つ「夕日(ゆふひ)」などにかかる。
    1. [初出の実例]「神かぜやゆふ日の浦のおきつなみたちゐしばなく浜千鳥かな」(出典:元永元年十月十三日内大臣忠通歌合(1118))
    2. 「神風やとよみてぐらになびくしでかけて仰ぐといふもかしこし〈後鳥羽院〉」(出典:新古今和歌集(1205)神祇・一八七六)

神風やの補助注記

上代の枕詞「かむかぜの」の変化したもの。「かみかぜ」「かむかぜ」の発音の別は確実ではない。なお、は枕詞とみず、「かみかぜや」で「伊勢の」の意を表わしているとする説がある。


かむかぜ‐や【神風や】

  1. かみかぜや(神風━)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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