鎌倉幕府第3代将軍源実朝(さねとも)の家集。「鎌倉右大臣家集」ともいう。「金槐」の「金」は「鎌倉」の「鎌」の偏、「槐」は「槐門」(大臣の位)の略で、鎌倉右大臣とよばれた実朝の家集を意味するといわれる。伝本は、藤原定家筆で、末尾に「建暦(けんりゃく)三年(1213)十二月十八日」(実際は12月6日建保(けんぽう)と改元)と記し、1213年成立の実朝(当時22歳)自撰(じせん)とみられるものと、末尾に「柳営亜槐(りゅうえいあかい)」(将軍で大納言(だいなごん)を兼ねた人。室町将軍足利義政(あしかがよしまさ)をさすか)の奥書を有し、1687年(貞享4)の板本に代表される他撰本の2種が存在する。建暦三年本は、春・夏・秋・冬・賀・恋・旅・雑に分類した663首を収め、実朝の絶唱「箱根路をわれ越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ」「大海の磯(いそ)もとどろに寄する波われて砕けて裂けて散るかも」「山は裂け海はあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも」などの、万葉調とも王侯調ともいうべきおおらかで重厚味ある歌の大部分を含む。柳営亜槐本は、建暦三年本の歌に56首を増補し、春・夏・秋・冬・恋・雑に分類し直した再編本で、「もののふの矢並つくろふこての上にあられたばしる那須(なす)のしの原」などを収める。実朝の歌は、賀茂真淵(かもまぶち)、斎藤茂吉、小林秀雄、吉本隆明(たかあき)、中野孝次らから高く評価されている。
[樋口芳麻呂]
『樋口芳麻呂校注『新潮日本古典集成 金槐和歌集』(1981・新潮社)』▽『風巻景次郎・小島吉雄校注『日本古典文学大系29 山家集・金槐和歌集』(1961・岩波書店)』
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「鎌倉右大臣家集」とも。源実朝の家集。「金」は鎌倉の鎌の偏,「槐」は大臣の異称。諸本は,歌数663首の藤原定家所伝本と歌数719首の1687年(貞享4)版本の2系統。定家所伝本には,建暦3年(1213)12月18日の奥書がある。四季・賀・恋・旅・雑の部立別の編纂。実朝は万葉調歌人として有名だが,本集は多くが本歌に依拠した詠作で王朝和歌の類型のなかにあって万葉調の歌は少ない。中央歌壇から遠隔の地にいた環境と天性の資質からか,特異な歌風をみせる。「日本古典文学大系」所収。
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