改訂新版 世界大百科事典 「票号」の意味・わかりやすい解説
票号 (ひょうごう)
piào hào
中国の旧式為替銀行で,別に匯兌荘(わいだそう),票荘ともいうが,山西商人の経営するものが有力であったから,山西票号として知られる。古くから商業の発達していた中国では,この種の業務も古くから存在したはずであるが,文献的に確実なのは19世紀初め,山西省平遥県に本店をもつ日昇昌が最初である。同店の経理であった雷履泰は,全国の要地に支店を設けて送金為替の業務を開始した。その成功に刺激され,同業者は急速に増加したが,平遥のほかに,祁県(きけん)と太谷県が中心地であり,支店網は国内にとどまらず,海外にまで拡大した。日本では神戸,大阪に支店があった。19世紀の後半になると,業務は国庫の代行にまで及んだ。光緒年間(1875-1908)はその全盛期であった。経営方式は合夥(合資)のかたちをとり,個人の信用を基礎とし,封建的な徒弟関係が支配していたが,辛亥革命で清朝が滅ぶと大打撃をうけ,新式銀行との競争にも勝てず,衰退の一途をたどり,やがて姿を消した。
→銭荘
執筆者:寺田 隆信
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