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公物 こうぶつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

公物
こうぶつ

行政主体によって直接公の目的に供用される個々の有体物私物に対応する。目的を中心とした講学上の概念である。公の目的に供用されるため,種々の公法上の制限に服することが多い。個々の有体である点で営造物または公の施設と異なる。公共用物公用物 (供用目的の相違) ,自然公物人工公物 (成立過程の相違) ,国有または公有公物と私有公物 (所有権帰属の相違) ,自有公物と他有公物 (管理主体と所有権者の一致,不一致) などの種別がある。主として河川法,道路法,国有財産法や各種条例,各種慣習法などで規律されている。直接に国または公共団体の使用に供することを目的とする公用物については,その使用関係は一般的には問題とならない。これに対して,直接に一般公衆の使用に供することを目的とする公共用物については,その使用関係が問題となる。公共用物の使用関係には,一般使用,許可使用,特許使用の3つの形態がある。一般使用は,道路の通行,河川での水浴など,公共用物をその本来の使用目的に応じて自由に使用する形態である。許可使用は,公共の安全秩序に障害を及ぼすおそれがあるために,またはその使用関係を調整する必要があるために,一般には禁止されている使用形態を,公物管理者が申請に応じて許可し,この許可に基づいて使用する形態である。たとえば,道路において工事ないしは作業をすること,道路に露店ないしは出店を出すこと,河川での竹木の流送,舟や筏の通航などである。特許利用は,公物管理者の特許に基づいて,その本来の用法をこえて公共用物を特別に使用する権利を取得し,使用する形態である。道路に電柱を立てること,道路に下水道管やガス管を埋設すること,河川にダムを建設することなどがこの例である。

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デジタル大辞泉の解説

おおやけ‐もの〔おほやけ‐〕【公物】

朝廷・天皇の所有物官有物。
「私の領になり侍らむは便なきことなり。―にて候ふべきなり」〈大鏡・三条院〉

く‐もつ【公物】

おおやけの物。官有物。こうもつ。
「―を犯すこと有らば罰すべし」〈今昔・二・四〉

こう‐ぶつ【公物】

国・地方公共団体などが直接におおやけの用に供する有体物。道路・公園・河川・港湾のように直接公衆の利用する公共用物と、官公署の建物や国立・公立学校の建物のように国や公共団体自身が使用する公用物とがある。→私物

こう‐もつ【公物】

くもつ(公物)

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世界大百科事典 第2版の解説

こうぶつ【公物】

国や公共団体によって直接公の目的のために供用される個々の物をいう。公物の観念を有体物に限るか,という問題があるが,実際上公物として問題になるのは,有体物それも土地やその上の施設である。公物は,直接に一般の国民の利用に供される公共用公物(例,道路,河川,公園。ただし,厳密にはそれらを構成する個々の物が公物であるが,通常,道路・河川等を指して公物ということは多い)と,直接には国や公共団体の事務・事業の用に供される公用公物(例,庁舎,国公立の学校・病院)とに大別される。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

おおやけもの【公物】

公の所有物。特に、朝廷の所有物。官物。

くもつ【公物】

〔「く」は呉音〕
おおやけのもの。官有のもの。こうもつ。 「人有りて-を犯す事あらば罰すべし/今昔 2

こうぶつ【公物】

国または地方公共団体などにより直接に公の目的に供される有体物。道路・河川・港湾のように直接公衆の共同使用に供される公共用物と、官公署・国公立学校の建物などのように国または公共団体自身の使用に供される公用物とがある。 ↔ 私物

こうもつ【公物】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

公物
こうぶつ

国または地方公共団体等の行政主体により直接、公の目的に供用される個々の有体物をいう。所有権の所在を問わない。その種類としては、直接、一般公衆の共同使用に供される公共用物(道路、河川、公園、海浜など)と、直接には国、公共団体の公用に供される公用物(官公署の建物、国・公立学校の建物など)、自然の状態においてすでに公の用に供しうべき実体を備えるのを通常とする自然公物(河川、海浜など)と、行政主体が人工を加え、かつ意思的にこれを公の用に供することにより初めて公物となる人工公物などの区別がある。
 公物は直接、公用または公共用に供されるという目的を達成するために、国有財産法、地方自治法第238条の4、河川法、道路法、海岸法、港湾法、都市公園法など特別な法律の適用を受ける。特殊の規定がなければ私法の適用を受けるのが原則であるが、解釈上争いの生ずることが少なくない。まず、公物は公の目的を達成するため所有権の設定なり移転について制限されることがある。公物が取得時効の対象となるかどうかについては、かつては否定されていたが、それは里道、水路、海岸などが公物性を喪失し、私人が長年占有していた場合に問題となることから、今日では肯定するのが判例である。公物の範囲については特別法で行政処分により決することができるとされていることがあり、公物保全の見地から公物の隣地の利用が制限(河川法54条の定める河川保全区域、海岸法3条の定める海岸保全区域等)されることがある。公物の設置管理に瑕疵(かし)がある場合には、公務員の過失の有無を問わず、公物の設置管理者または費用負担者が賠償責任を負う(国家賠償法2条、3条)。
 公物の使用関係には次の三つの種類がある。
(1)公共用物の一般(自由、普通)使用 本来他人の共同利用を妨げない限度において許可を要することなく自由に使用することをいう。道路の通行、公園の散策、海水浴のための海浜の使用、河川における水泳・洗濯などがその例である。また、公用物はもともと官庁の利用に供されるが、従来、国立大学構内の自由通行のように自由使用が認められることがあると説明されてきた。しかし、国立大学も非公務員型に法人化され、そもそも公用物であるのかが明らかでなくなっている。
(2)許可使用 公物の使用が公共の安全と秩序に支障を及ぼすのを防止し、または多数人の同時使用を調整するために、一般には自由な使用を制限し、特定の場合にその制限を解除するもので、公安条例や道路交通法によるデモ行進の許可がその例である。
(3)特許使用 特定人に使用権を設定するもので、道路に電柱を建て、ガス管を埋設し、軌道を敷設し、河川にダムを建設し、官庁内に食堂や理髪店を設置するのがその例である。[阿部泰隆]

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