程昱(読み)ていいく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「程昱」の意味・わかりやすい解説

程昱
ていいく

生没年不詳。中国、三国魏(ぎ)の官僚。字(あざな)は仲徳(ちゅうとく)。東(とう)郡東阿(とうあ)県(山東省陽谷(ようこく)県)の人。曹操(そうそう)が徐州大虐殺を行い、陳宮(ちんきゅう)と張邈(ちょうばく)が呂布(りょふ)を引き込んで反乱を起こしたときに、豪族の支持を受けて出身地の東阿県のほか3県を死守する中心となった。荀彧(じゅんいく)は程昱を「民の望」と称し、郷里社会への影響力を発揮して、拠点を守ったことをたたえている。こののち、主力を率いた曹操が徐州より戻り、張邈と呂布、そして陳宮を破った。曹操の根拠地を守り抜いた程昱は、曹操から、「君の力がなければ、わたしは帰る場所がなかった」と感謝された。以後、200年の官渡(かんと)の戦いの際にも鄄城(けんじょう)を守るなど、曹操の拠点をよく保持した。また、208年の赤壁(せきへき)の戦いののち引退を表明し、兵を返上するなど巧みな処世術をみせ、文帝曹丕(そうひ)に三公に任命される直前に、80歳で病死した。『三国志演義』では、「十面埋伏(じゅうめんまいふく)の計」で袁紹(えんしょう)に打撃を与え、徐庶(じょしょ)の母をだますなど、多く策略をたてる軍師として活躍する。

[渡邉義浩]

『渡邉義浩著『「三国志」軍師34選』(PHP文庫)』

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