九州地方の代表的民謡。宮崎県東臼杵(うすき)郡椎葉(しいば)村で歌われてきた。本来は、焼畑のヒエ畑から穂先だけを刈り取り、木の臼(うす)に入れて杵(きね)で搗(つ)いて脱穀するときの仕事唄(うた)である。ヒエを常食してきた農村のなかには、たとえば岩手県の北上山系地帯や熊本県の山地のように、ヒエを搗くおりの仕事唄がいまも残っているという。宮崎県の椎葉村でもヒエやアワを栽培し常食としてきた。冬の農閑期に親しい者同士が一つ家に集まり、ヒエを搗きながら唄を歌う。男女が集まれば恋の唄の掛け合いとなる。椎葉村のこの仕事唄は、ダム工事に村に入った工事関係者たちから広められ、1953年(昭和28)レコードに吹き込まれてから全国的に普及した。とりわけ那須(なす)大八郎と鶴富(つるとみ)姫とのロマンスを盛り込んだ歌詞は、若い人たちにも受け、秘境の観光宣伝とともに、訪れる人たちの口からもほうぼうへ広められていった。
[斎藤 明]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…したがって古い道路,集落,畑などは深い渓谷の上部の緩斜面に立地している。源平の争いに敗れた平家の落人たちがこの地に逃れ住み,これを追って来た源氏の那須大八郎と平家の鶴富姫との間の恋物語の伝説は民謡《稗搗(ひえつき)節》にうたわれて,全国的に有名になった。上椎葉にある那須家住宅(鶴富屋敷。…
…母乳の出が悪いときには稗飯やヒエの甘酒を飲むとよいといわれるほどだった。しかし,ヒエの精白は重労働であり,目減りも激しかったが,このつらい労働の中から〈なんぼついてもこの稗むけぬ,どこのお蔵の下積みか〉といった椎葉(しいば)の稗搗節(ひえつきぶし)のような労働歌が生まれた。現在,アワやヒエを作らぬ土地でも,小正月には〈粟穂稗穂(あわぼひえぼ)〉という作り物を作って豊作祈願をする所が多く,旧家では夫婦が裸でいろりを回りながら予祝儀礼を行うこともあった。…
※「稗搗節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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