種子骨(読み)シュシコツ(その他表記)sesamoid bone

デジタル大辞泉 「種子骨」の意味・読み・例文・類語

しゅし‐こつ【種子骨】

特定けん靭帯じんたいの中にみられる、植物種子に似た形の骨。手足親指の付け根などにあり、腱と骨の摩擦を軽減するなどの働きがある。膝蓋骨しつがいこつもその一つ

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改訂新版 世界大百科事典 「種子骨」の意味・わかりやすい解説

種子骨 (しゅしこつ)
sesamoid bone

手や足の関節の付近の靱帯じんたい)や腱の中にみられるアサガオの種のような形の小さい骨。一見余分な構造に見えるが,隣接の骨と関節を営み滑車のような役目をし,腱や靱帯の方向を変えるとともに,これらが骨の面から脱臼するのを防いでいる。人体では,手のひらに5個,足の裏に2~5個の種子骨がある。膝蓋骨(しつがいこつ)はクリの実よりも大きいが,これも大腿四頭筋の腱の中に発達した一種の種子骨である。種子骨をもっているのはヒトだけでなく,膝蓋骨は哺乳類鳥類が一般にもっているし,ネズミ類では多数ある尾椎の関節ごとに1対の種子骨が備わっている。種子骨は高等脊椎動物に広くみられるものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「種子骨」の意味・わかりやすい解説

種子骨
しゅしこつ

特定の腱(けん)の中や腱と癒着している関節包の中に包埋された卵円形小骨片をいい、その大部分が線維性軟骨からできている場合もある。胎児では、成人と比較すると種子骨の数がかなり多いという。種子骨は、骨の表面を移動する腱の摩擦に抵抗して発生したものである。

 上肢における正常な種子骨は手掌面にだけ出現する。母指の中手指節関節(基節骨と第1中手骨との間)の両側の2個の種子骨はつねに存在し、エンドウ豆大の小骨である。そのほか、母指の基節骨と末節骨との間や示指(人差し指)の遠位(手先側)指節間関節にもみられる。下肢で最大の種子骨は膝蓋(しつがい)骨である。これは体のなかでも最大の種子骨である。足では、母指の中足指節関節や他の指の同じ部位に認められることもある。また、関節から離れた部位で、腱内に存在する場合もある。

[嶋井和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「種子骨」の意味・わかりやすい解説

種子骨
しゅしこつ
sesamoid bone

靭帯または腱の中に発生する類円形の小骨。形が植物の種子に似ているのでこの名がある。摩擦に抵抗するために生じる。手足の指の骨に付随してみられることが多い。膝蓋骨や手の豆状骨もこの種子骨に属する。

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