いわゆる膝小僧(ひざこぞう)(膝蓋、ヒザガシラ)の部分で、皮下に皿状の小骨としてその輪郭を触れることができる。大腿(だいたい)前面の強大な大腿四頭筋の腱(けん)の中に存在している一種の種子骨である。全体としてはクリ形三角状の扁平(へんぺい)な骨で、日本人では縦の長さが約4センチメートルで、幅はそれよりやや長い。先端の膝蓋骨尖(せん)は下方に向き、幅広い上縁の膝蓋骨底は上方を向いている。前面は軽い隆起を示すが粗面である。後面は関節面とよび、関節軟骨に覆われて平滑な面をしており、大腿骨下端にある膝蓋面と接触して関節を形成している。膝蓋骨関節面にはほぼ中央に縦走する隆起部があり、大腿骨膝蓋面とよく対応するようになっている。膝蓋骨は膝関節を前面から蓋(ふた)をするように位置し、膝の屈伸運動にしたがってよく移動する。膝を十分に伸ばして大腿四頭筋の緊張を解くと、膝蓋骨は皮膚の下で上下・左右に動かすことができる。膝蓋骨は膝関節を防護する役割をもち、とくに膝を屈曲したとき、膝関節を外力から保護するほか、膝関節を伸展したときには、関節を周囲の筋、腱といっしょになって固定する。膝蓋骨を除去してしまうと、膝の伸展の働きは著しく弱化してしまう。この骨は長く軟骨性のままでいて3歳ごろから骨化が始まり、20歳ころになると骨化が完了する。
[嶋井和世]
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…高年者に多い大腿骨頸部骨折が治りにくいのは,このことにも原因がある。先天性股関節脱臼
[膝関節knee joint]
大腿骨下端と脛骨上端との間の関節で,そのほか関節の前面にある大腿四頭筋の腱のなかにある膝蓋骨も関節の構成に関与している。1軸性の蝶番関節でひざの屈伸を行うが,ひざを曲げた位置では,さらに足の内旋や外旋ができる。…
…他の3筋はすべて大腿骨の前面より起こる。膝関節の前面では,その停止腱のなかに膝蓋骨(いわゆる〈おさら〉)がある。膝蓋骨の内面は膝関節の関節腔に面していて,関節の運動を円滑に行うのを助ける。…
…長い棒状で,人体中最大の骨で,股関節で骨盤とつながり,膝関節で脛骨とつながる。大腿骨膝蓋骨patellaひざの前面にある平たい骨で,俗に〈おさら〉といわれる。大きさは子どもの手のひらくらいで,後面は全部が関節面をなし,軟骨でおおわれる。…
…人体では,手のひらに5個,足の裏に2~5個の種子骨がある。膝蓋骨(しつがいこつ)はクリの実よりも大きいが,これも大腿四頭筋の腱の中に発達した一種の種子骨である。種子骨をもっているのはヒトだけでなく,膝蓋骨は哺乳類と鳥類が一般にもっているし,ネズミ類では多数ある尾椎の関節ごとに1対の種子骨が備わっている。…
※「膝蓋骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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