草木の種子を商う店。種物屋ともいう。江戸時代は徳川家康以来代々の将軍に花好きが多く,〈寛永のツバキ〉〈元禄のツツジ〉〈正徳のキク〉などといわれる流行を生み,全期を通じてきわめて園芸熱が盛んであった。そうした風潮を背景にして,新種,珍種をつくり出して一獲千金をねらう者もあり,内職として花卉(かき)栽培を手がける者も少なくなかった。種屋はそうした状況下で成立したと考えられるが,《柳多留》139編(1835)に見える〈瓔珞(ようらく)のやうに下げとく種物屋〉の句などからすると,店先に種を入れた袋をつり下げていたもののようである。地方には蔬菜(そさい)の種子を売るところがあり,現長野県野沢温泉村では県内や新潟県に売るノザワナの種が大きな収入源であったという。
→種苗
執筆者:西村 潔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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