種屋(読み)たねや

精選版 日本国語大辞典 「種屋」の意味・読み・例文・類語

たね‐や【種屋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. たねものや(種物屋)
    1. [初出の実例]「雑貨屋は、種子(タネ)屋と煙草屋とを兼ねていた」(出典:影の車(1961)〈松本清張〉七)
  3. 種付け職業とする人。
    1. [初出の実例]「タネヤは来ねえでも、タネせえあればなんでもねえて」(出典:月山(1974)〈森敦〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「種屋」の意味・わかりやすい解説

種屋 (たねや)

草木種子を商う店。種物屋ともいう。江戸時代は徳川家康以来代々の将軍に花好きが多く,〈寛永のツバキ〉〈元禄ツツジ〉〈正徳キク〉などといわれる流行を生み,全期を通じてきわめて園芸熱が盛んであった。そうした風潮を背景にして,新種,珍種をつくり出して一獲千金をねらう者もあり,内職として花卉(かき)栽培を手がける者も少なくなかった。種屋はそうした状況下で成立したと考えられるが,《柳多留》139編(1835)に見える〈瓔珞(ようらく)のやうに下げとく種物屋〉の句などからすると,店先に種を入れた袋をつり下げていたもののようである。地方には蔬菜(そさい)の種子を売るところがあり,現長野県野沢温泉村では県内や新潟県に売るノザワナの種が大きな収入源であったという。
種苗
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