改訂新版 世界大百科事典 「ノザワナ」の意味・わかりやすい解説
ノザワナ (野沢菜)
Brassica campestris L.var.hakabura
アブラナ科の一・二年草。長野県の特産野菜で,漬物として独特の風味が好まれる。約200年前に野沢温泉村の健命寺の住職が京都に遊学のおり,〈天王寺カブ〉の種子を持ち帰り,それを寺内にまいたのが始まりといわれ,当時のものは小型であったが,その後,長年の間に変異して現在のものができ上がった。根が肥大しないカブ(カブナ)で,草丈は1mくらいにもなり,直立性で葉柄が長く,葉形は長円形で葉のふちには刻みがある。地下部のカブのふくらみはあまり大きくならず,上部は紫紅色になるが,下部は白色である。栽培は秋の9月上・中旬まきが多く,霜や雪にあうと軟らかくなり甘みを増すので,寒さにあててから収穫する。漬込みは,畑で地下部を切りとり,葉先も15~20cm切りすてて,半日くらい日にあててから塩漬にする。
執筆者:平岡 達也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報