稲田石(読み)いなだいし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲田石」の意味・わかりやすい解説

稲田石
いなだいし

茨城県笠間(かさま)市稲田地方に産する黒雲母花崗岩(くろうんもかこうがん)の石材稲田御影(みかげ)あるいは白御影ともいわれる。石英カリ長石斜長石黒雲母を主成分鉱物とする深成岩で、角閃石(かくせんせき)が含まれることもある。カリ長石と斜長石が白いため白色の外観を呈し、国産の御影石のなかではもっとも純白に近いといわれる。鉱物粒の大きさの違いにより、粗目(あらめ)、中目(ちゅうめ)、小目(こめ)、糠目(ぬかめ)の種類があり、有色鉱物の多い「黒」とよばれるものもある。土木・建築用の比較的良質の石材として、関東地方を中心とした東日本一帯で広く利用されている。舗道敷石や墓石などにも用いられるほか、砕石がテラゾー(人造石)の原料としても利用されている。

[斎藤靖二]

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改訂新版 世界大百科事典 「稲田石」の意味・わかりやすい解説

稲田石 (いなだいし)

茨城県笠間市稲田付近に産する黒雲母花コウ岩の石材名。中粒で,黒雲母が目立たず白っぽく見えるので自御影に分類される。均質のものが大量にとれ,明治以降,土木・建築用材として広く使われた。現在では日本最大の御影石産地であり,石切場の大きなものは,国際的に見ても第一級の規模である。東京における白御影の建築は,古くは日本橋や明治生命本社,新しいものでは最高裁判所,日本銀行本店新館など,大半がこの石である。また墓石材としても利用されている。稲田から南へ,筑波山にのびる山地は花コウ岩から成り,加波山付近では稲田石よりやや細粒の御影石を産し,おもに墓石材に利用されている。笠間市,桜川市の旧真壁町一帯には,石の加工工場が多く,笠間市稲田は建築用の,旧真壁町は墓石加工の東日本の中心となっている。
御影石
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デジタル大辞泉プラス 「稲田石」の解説

稲田石

石材の名。茨城県笠間市稲田地域で産出される花崗岩。東京都中央区の日本橋、東京都千代田区の最高裁判所などに使用されている。「稲田御影」とも。

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