日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲田石」の意味・わかりやすい解説
稲田石
いなだいし
茨城県笠間(かさま)市稲田地方に産する黒雲母花崗岩(くろうんもかこうがん)の石材。稲田御影(みかげ)あるいは白御影ともいわれる。石英、カリ長石、斜長石、黒雲母を主成分鉱物とする深成岩で、角閃石(かくせんせき)が含まれることもある。カリ長石と斜長石が白いため白色の外観を呈し、国産の御影石のなかではもっとも純白に近いといわれる。鉱物粒の大きさの違いにより、粗目(あらめ)、中目(ちゅうめ)、小目(こめ)、糠目(ぬかめ)の種類があり、有色鉱物の多い「黒」とよばれるものもある。土木・建築用の比較的良質の石材として、関東地方を中心とした東日本一帯で広く利用されている。舗道敷石や墓石などにも用いられるほか、砕石がテラゾー(人造石)の原料としても利用されている。
[斎藤靖二]