日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲葉江」の意味・わかりやすい解説 稲葉江いなばごう 国宝の刀剣。江とは越中(えっちゅう)国(富山県)松倉郷の住人義弘(よしひろ)の作をいい、世に松倉郷または郷とよび、室町末期ごろから江と書く。義弘には有銘の作がないが、古来、相州正宗の弟子と伝え、その技量は第一である。稲葉江は富田江とともに義弘作中の名作とされる。銘文によって天正(てんしょう)13年(1585)12月、本阿弥光徳(ほんあみこうとく)が磨(す)り上げて金象嵌(ぞうがん)を入れ、稲葉勘右衛門尉重通(しげみち)の愛刀であったことが知られ、『享保名物牒(きょうほうめいぶつちょう)』に稲葉江の名で出ている。[小笠原信夫][参照項目] | 郷義弘 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
デジタル大辞泉プラス 「稲葉江」の解説 稲葉江(いなばごう) 南北朝時代につくられた日本刀。正宗十哲の一人、郷義弘(江義弘)の作による太刀。稲葉勘右衛門が所持していたことからこの号がある。その後徳川家康が召し上げて、松平家に伝わった。国宝。東京の個人が所蔵していたが、2013~2015年にかけての文化庁による調査の結果、所在不明と判明。「稲葉郷」の表記もある。 出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報