章草(読み)ショウソウ

デジタル大辞泉 「章草」の意味・読み・例文・類語

しょう‐そう〔シヤウサウ〕【章草】

漢字書体の一。隷書から草書への過渡的な性格をもつ書体。前漢元帝のとき史游しゆうが書いた字書「急就章」の書体から出たものとも、後漢章帝のとき杜度とど章奏(奏上文)に用いたのが始まりともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「章草」の意味・読み・例文・類語

しょう‐そうシャウサウ【章草】

  1. 〘 名詞 〙 漢字の書体の一種。隷書(れいしょ)と草書との中間的な性格をもつ書体。この書法にすぐれた杜操を後漢の章帝が称揚したところからこの名があるという。〔法帖刊誤〕
    1. 章草〈史游筆 急就章〉
      章草〈史游筆 急就章〉

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普及版 字通 「章草」の読み・字形・画数・意味

【章草】しようそう(しやうさう)

漢代草書の一。〔書断、上〕按ずるには、門令游の作る。~王(わういん)云ふ、~游~隷體を解散して之れを書(そしよ)す。惰、漸く以て之れを行ふと。是れなり。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「章草」の意味・わかりやすい解説

章草
しょうそう

漢字の書体の名称で,八分 (はっぷん) から変化した書体の一種。中国,前漢の中期から起り,後漢の初期には通行していたことが,同時代の木簡によって知られる。前漢の元帝のとき,黄門令の史游が『急就編』 32章を,書写に便利な速成の草体によって書いたのに始るといわれる。名称は,後漢の章帝 (在位 75~87) がこれを好んだこと,章奏 (君主に奏する文書) に用いたことなどの諸説がある。

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世界大百科事典(旧版)内の章草の言及

【急就篇】より

…(1)Jí jiù piān 中国,漢の史游の著。字書の一種で,児童など初学入門のものに文字ならびに当時〈章草〉と呼ばれた草書体を教えるためのものであったと考えられる。《急就章》とも呼ばれることがあるが,その場合〈章〉はこの章草の意味である。…

【書体】より

…楷書は初唐の三大家(欧陽詢(おうようじゆん),虞世南,褚遂良(ちよすいりよう))によって典型が確立され,これを頂点として現在に及んでいる。 章草は前漢の元帝のとき,史游が〈急就章〉を作り,それがこの書体で書かれていたことから名がある。これは字画を簡略にして,各字が独立して連続せず,終筆を太く短かく八分のようにはねるところに特色がある。…

【八体】より

…たとえば,欧陽詢(おうようじゆん)を評して〈八体ことごとく能(よ)くす〉などの例がある。その細目については,とくに記述はないが,彼のあげる十体書の目の中から,古文と大篆を除いた籀文(ちゆうぶん),小篆,八分(はつぷん),隷書,章草,行書,飛白(ひはく),草書の八体を指すようである。籀文は石鼓文に見える書体。…

※「章草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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