(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「章」の意味・読み・例文・類語

しょう【章】[漢字項目]

[音]ショウ(シャウ)(呉)(漢) [訓]あや
学習漢字]3年
文字でつづった文。「玉章詞章断章文章
資格・身分などを示すしるし。「印章記章勲章校章褒章帽章喪章もしょう紋章腕章
文や音楽の一区切り。「章句章節楽章終章序章
箇条書きにした法令。「憲章典章
[補説]原義は、はっきりとしたあや・しるし。
[名のり]あき・あきら・き・たか・とし・のり・ふさふみゆき
難読周章あわてる章魚たこ玉章たまずさ

しょう〔シヤウ〕【章】

文章や楽曲などの全体構成の中で、大きく分けた区分。「を改める」
ひとまとまりの文章。
しるし。記章。「会員の
古代中国の文体の名。上奏文の一様式。
古代中国の暦で、19年のこと。
[類語]章段段落パラグラフ

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精選版 日本国語大辞典 「章」の意味・読み・例文・類語

しょうシャウ【章】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 文章、楽曲などを構成する部分のうちの大きな段落。
    1. [初出の実例]「十一品に章を分ぞ」(出典:日本書紀兼倶抄(1481)上)
    2. [その他の文献]〔論衡‐正説〕
  3. 一まとまりの文章、一編の詩歌。あやのある文章。
    1. [初出の実例]「下筆成章。出言為論」(出典:懐風藻(751)大友皇子伝)
    2. [その他の文献]〔史記‐楽書〕
  4. 古代中国の文体の一つ。天子に上書して、恩を謝し、慶賀を表するもの。〔独断‐上〕
  5. くだり。箇条。〔史記‐高祖本紀〕
  6. いん。印章。押手(おしで)はんこ。〔漢官儀〕
  7. しるし。標識。〔国語‐周語中〕
  8. 勲章、褒章などの記章をいう。
    1. [初出の実例]「一 宝冠章〈略〉章 宝冠と竹桜の形を以て飾る」(出典:勲章等級製式及大勲位菊花章頸飾製式(明治二一年)(1888))
  9. おきて。のり。規則。また、手本。〔詩経‐大雅・抑〕
  10. 織物もよう。あや。〔易経‐説卦
  11. 区別。わかつこと。〔孔子家語‐曲礼子貢問〕
  12. 古代中国における暦法の一周期。一九年をいう。
    1. [初出の実例]「古記云。暦数。十九年為一章」(出典:令集解(738)職員)
    2. [その他の文献]〔周髀算経‐下〕

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普及版 字通 「章」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
11画

[字音] ショウ(シャウ)
[字訓] あきらか・あや・しるし

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 象形
入墨の器である辛(しん)(針)の針先の部分に、墨だまりを示す肥点を加えた形。これによって入墨を行う。その文身の文彩あるものを文章といい、その美しさを彰(ぶんしよう)という。〔説文〕三上に「樂の(をは)るを一と爲す。と十とに從ふ。十は數のりなり」とし、楽章の意とするが、(音)とは関係のない字形である。入墨の美をといい、その賦彩を示す彡(さん)を加えて(彰)となる。入墨は刑罰の他にも、通過儀礼として、社会生活上の身分的なしるしとして多く用いられた。それで章明・喪章の意より、章程・憲章をいい、また詩文の章節・楽章の意となる。(文)が文身の意より文雅・文章の意となったように、も入墨の意から諸義が展開する。その展開の過程は、両者に似たところがある。

[訓義]
1. あきらか、入墨の器で入墨すること、その入墨の美しいこと。
2. あらわれる、あや、あきらかにする。
3. しるし、くぎり、きりめ、ほど、てほん、のり。
4. 詩文の一節、楽曲の一節、てがみ。
5. しるしのはん、印章、おしで。

[古辞書の訓]
名義抄 アキラカニ・アキラカナリ・ナル・アゲツラフ・タダス・ホドコス・トトノフ・ノリ・メグル

[声系]
〔説文〕に声として(障)など八字を収め、また(商)をの省声に従うものとするが、の従うところは辛で、ではない。の繁文ともいうべき字。は保障、は〔説文〕十三下に「擁(ふさ)ぐなり」とあって、の字に含まれている呪的な意味を承けているようである。

[熟語]
章印・章回・章狂・章句・章檄・章顕・章皇・章・章書・章章・章・章奏・章草・章程・章徳・章表・章服・章聞・章甫・章黼・章法・章報・章明・章誉・章露
[下接語]
衣章・印章・王章・雅章・回章・絵章・楽章・含章・記章・旗章・章・旧章・玉章・勲章・建章・憲章・顕章・才章・采章・詞章・詩章・辞章・首章・受章・周章・序章・条章・図章・成章・星章・奏章・喪章・卒章・短章・断章・鳥章・朝章・典章・日章・拝章・飛章・表章・品章・符章・服章・分章・文章・平章・炳章・返章・章・便章・法章・報章・褒章・紋章・竜章

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【奏議】より

…中国における文章の一形式で,臣下が君主に上(たてまつ)る意見書のこと。古くは上書といい,漢代では章,奏,表,議などといった。…

【四分暦】より

…1年の長さが365日+1/4日であることから,四分法ともよばれた。19年に7個の閏月を挿入し(19×12+7=235朔望月),この基本周期の19年を1章とし,4章(76年)で閏月および月の大小が循環するようにした暦法である。1章という周期は,ギリシアでもメトン周期として知られていた。…

【太陰太陽暦】より

…そこで2年か3年に一度,ある月を2ヵ月おいて1年を13ヵ月にして,季節と日付の食違いを1ヵ月以内にとどめようとするのが太陰太陽暦である。余分に挿入される月を閏(うるう)月といい,19年に7回の閏月をおくとぐあいがよいのでこの19年のことを1章といった。日本では1873年(明治6)に太陽暦が採用されたが,それ以前に使用されていた暦はすべて太陰太陽暦であり,俗に陰暦とか旧暦と呼ばれている。…

【地球】より

…一方,赤道と月の軌道である白道との交点は約18.6年周期で黄道上を逆行するため,月による偶力は周期的に変化し,地球の自転軸の空間的位置は歳差運動に重なった約18.6年周期で振動する。また,地球と月,太陽の距離が変動することによる偶力の変化などのため,この周期以外にもさまざまな周期の振動があり,これらを含めて章動という。章とは古代中国暦法で19年を意味する。…

※「章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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