デジタル大辞泉
「黒部峡谷」の意味・読み・例文・類語
くろべ‐きょうこく〔‐ケフコク〕【黒部峡谷】
黒部川の上・中流の峡谷。立山連峰と後立山連峰を二分する、日本一深い峡谷をなす。黒部湖から上流を上廊下、下流を下廊下と呼ぶ。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
くろべ‐きょうこく‥ケフコク【黒部峡谷】
- 富山県東部、黒部川上流部の峡谷。右岸の後立山連峰、左岸の立山連峰にはさまれ、黒部湖から上流を上廊下、下流を下廊下と呼ぶ。猿飛、十字峡などの奇勝が続く。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
黒部峡谷
くろべきようこく
北アルプスを東西に二分し、山頂と谷底の高度差が一五〇〇―二〇〇〇メートルに達する日本第一のV字谷。中部山岳国立公園の一部をなし、宇奈月町・立山町・大山町の三町にまたがる。黒部川によって形成され、一般に宇奈月温泉から上流をいう。とくに仙人谷から黒部別山辺りまでを下廊下、黒部ダムの湛水域の上流から薬師岳近くまでを上廊下とよんでいる。この峡谷は隆起運動に伴う流水の下刻作用により形成されたもので、支谷は本流よりも浸食が少ないためその多くは懸谷となって滝状に本流へ落下している。下廊下は十字峡を中心に、白竜峡・S字峡などが峡谷美を呈し、一帯は国の特別名勝・特別天然記念物に指定されている。なかでも十字峡は北流する本流に対して西から劔沢、東から棒小屋沢が滝となって合流し珍しい景観である。また上流の黒部別山の大断崖や白竜峡下流の半月峡、さらには飛地として黒部峡谷鉄道(黒部軌道)の終点欅平付近の奥鐘山の大断崖と黒部峡谷の中で最も狭く急流が断層に沿って直角に曲っている猿飛峡がある。黒部峡谷地域はほとんど花崗岩類で構成されているので谷が深い割に明るく、断崖絶壁の谷底を青い水が急流となって流れ、両岸の緑や紅葉を映す景色は、わが国の峡谷美を代表するものである。峡谷の随所から熱泉が噴出し、黒薙・鐘釣・名剣などの各温泉がとくに有名で訪れる人も多い。また黒部峡谷一帯は国有林で、国指定特別天然記念物のカモシカやライチョウの生息地であり、ニホンザルも群れをつくって生息している。
〔黒部奥山〕
近世における黒部川上流の山や峡谷の総称で、越後・信濃・飛騨との国境地帯の山や谷、さらに境川・常願寺川・神通川の上流部を含むこともあった。上奥山と下奥山に分れ、境界は一応後立山(鹿島槍ヶ岳)とされていた。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
黒部峡谷【くろべきょうこく】
富山県東部を北流する黒部川の宇奈月温泉から上流の峡谷(特別名勝・特別天然記念物)。黒部ダムの貯水池黒部湖の上流は上廊下,下流は下廊下と呼ばれる花コウ岩の断崖で,山頂と比高1500〜2000mに達する日本で最も深い谷を形成,十字峡,奥鐘山,猿飛峡などの奇観がある。この渓谷の美しさは1910年代以降,登山家冠松次郎によって〈発見〉された。中部山岳国立公園に属し,黒薙(くろなぎ),二見,鐘釣など温泉も多く,新緑・紅葉時の登山者が多い。江戸時代には加賀藩が軍事上の理由から黒部奥山に締り方を置き,奥山廻の制度を定めている。欅平(けやきだいら)まで関西電力黒部峡谷鉄道,黒部ダムまでは富山,大町を結ぶ立山・黒部アルペンルートが通じる。
→関連項目宇奈月[町]|大糸線|黒部[市]|立山[町]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
黒部峡谷 (くろべきょうこく)
富山県東部,宇奈月温泉より上流の黒部川の峡谷。黒部湖域で二分され,東沢谷合流点より上流の〈上ノ廊下〉は登山路のない原始景観そのままの峡谷である。黒部湖より下流の〈下ノ廊下〉は山頂と河床との高低差が1500~2000mもあり,十字峡を中心とする断崖絶壁をえぐった旧日本電力歩道を改良した山道が西岸に通じている。峡谷は隆起に伴う花コウ岩の節理に沿って浸食・形成されたもので,深いわりに花コウ岩の岩肌と流水で明るく,新緑や紅葉が映える。特別名勝・特別天然記念物指定地域は黒部ダム下流から東沢谷合流点までの池平山,劔岳,立山を結ぶ稜線と,鹿島槍ヶ岳,岩小屋山を結ぶ稜線とによって囲まれた地域で,下流の奥鐘山と猿飛峡はその飛地である。峡谷の一般観光は下流部の宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道で終点欅平(けやきだいら)までであり,中心地は鐘釣の天然風呂と猿飛を中心とする欅平である。宇奈月温泉は支流黒薙川の黒薙温泉(96℃,単純泉)の豊富な温泉を引湯として利用されている。
執筆者:深井 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
黒部峡谷
くろべきょうこく
富山県東部を流れる黒部川の宇奈月(うなづき)温泉から上流の峡谷。黒部川が北アルプスの北部を立山(たてやま)連峰と後(うしろ)立山連峰に二分して流れているため、その山頂と谷底の高度差は1500~2000メートルに及び、日本で最深の峡谷地帯を形成している。観光地としての黒部峡谷は、黒部峡谷鉄道が通ずる宇奈月温泉から上流欅平(けやきだいら)までである。この間に黒薙(くろなぎ)温泉、鐘釣(かねつり)温泉、名剣(めいけん)温泉、祖母谷(ばばだに)温泉などがある。欅平より上流、黒部ダム下流域は「下廊下(しものろうか)」で、その中心部はS字峡、十字峡、白竜峡である。このルートは1935年(昭和10)ごろ当時の日本電力の調査ルートで、左岸につけられた足下100メートルの断崖(だんがい)の登山ルートで、一般観光客の探勝はむずかしい。黒部峡谷のもう一つの観光の中心は黒部ダム地域である。黒部ダム上流の東沢谷からは「上廊下(かみのろうか)」で山道もなく、河岸と激流を渡り行く登山者のみのルートである。「下廊下」は、特別名勝・特別天然記念物に指定されている。
[深井三郎]
『深井三郎著『黒部とその山々をゆく』(1968・古今書院)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
黒部峡谷
くろべきょうこく
富山県東部,黒部川上・中流部にある峡谷。黒部川が飛騨山脈を西側の立山連峰と東側の後立山連峰とに分けて北流する。黒部湖より上流を上ノ廊下,下流を下ノ廊下と呼ぶが,標高差 1500~2000mに及ぶ断崖絶壁があり,日本で最も深い峡谷の一つとなっている。大正末期から電源開発が行なわれたが,それまではカモシカや野猿が生息し,人跡未踏であった。宇奈月温泉からトロッコ式の黒部峡谷鉄道が欅平まで通じる。沿線には黒薙温泉,鐘釣温泉,祖母谷温泉があり,一帯は中部山岳国立公園に属する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報