竹本源大夫(読み)たけもとげんだゆう[きゅうせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竹本源大夫」の意味・わかりやすい解説

竹本源大夫(9世)
たけもとげんだゆう[きゅうせい]

[生]1932.2.14. 大阪
義太夫節太夫本名尾崎忠男。祖父は 7世竹本源大夫,父は 1世鶴沢藤蔵,のちに 7世竹本住大夫姉婿になる文楽一家に生まれる。1946年 4世竹本織大夫(のちの 8世竹本綱大夫)に入門,竹本織の大夫を名のり四ッ橋文楽座(→文楽座)で初舞台を踏む。1949年に文楽が二派に分裂すると,師とともに因会(ちなみかい)に所属。1963年に 5世竹本織大夫を襲名し,同 1963年の文楽協会設立後は近松門左衛門作の『心中重井筒(しんじゅうかさねいづつ)』などで高い評価を受ける。次代の中心と期待されながら一時伸び悩んだが,師匠譲りの深い知識に裏づけられた緻密さは比肩する者がなく,徐々に実力を発揮,1994年に切場語り(→)となる。1996年に 9世竹本綱大夫を襲名,これを機に息子の 5世鶴沢清二郎を相三味線とする。伝承の確かさでは一頭地を抜く重鎮で,2007年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。2011年に親子ともに 9世竹本源大夫,2世鶴沢藤蔵を襲名。1992年芸術選奨文部大臣賞,1994年紫綬褒章,2003年日本芸術院賞,2009年旭日小綬章を授与された。(→浄瑠璃人形浄瑠璃

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「竹本源大夫」の解説

竹本源大夫(9代) たけもと-げんだゆう

1932-2015 昭和後期-平成時代の浄瑠璃(じょうるり)太夫。
昭和7年2月14日生まれ。初代鶴沢藤蔵長男。義太夫節。4代竹本織大夫(のち8代竹本綱大夫)に入門。昭和21年初舞台。38年5代竹本織大夫を襲名。父が相三味線をつとめた。平成6年「切場(きりば)語り」にすすみ,8年9代綱大夫を襲名。15年芸術院賞。19年人間国宝。23年9代竹本源大夫を襲名。26年引退。平成27年7月20日死去。83歳。大阪府出身。大阪府立航空高工卒。本名は尾崎忠男。初名は竹本織の大夫。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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