ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竹本源大夫」の意味・わかりやすい解説
竹本源大夫(9世)
たけもとげんだゆう[きゅうせい]
義太夫節の太夫。本名尾崎忠男。祖父は 7世竹本源大夫,父は 1世鶴沢藤蔵,のちに 7世竹本住大夫が姉婿になる文楽一家に生まれる。1946年 4世竹本織大夫(のちの 8世竹本綱大夫)に入門,竹本織の大夫を名のり四ッ橋文楽座(→文楽座)で初舞台を踏む。1949年に文楽が二派に分裂すると,師とともに因会(ちなみかい)に所属。1963年に 5世竹本織大夫を襲名し,同 1963年の文楽協会設立後は近松門左衛門作の『心中重井筒(しんじゅうかさねいづつ)』などで高い評価を受ける。次代の中心と期待されながら一時伸び悩んだが,師匠譲りの深い知識に裏づけられた緻密さは比肩する者がなく,徐々に実力を発揮,1994年に切場語り(→切)となる。1996年に 9世竹本綱大夫を襲名,これを機に息子の 5世鶴沢清二郎を相三味線とする。伝承の確かさでは一頭地を抜く重鎮で,2007年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。2011年に親子ともに 9世竹本源大夫,2世鶴沢藤蔵を襲名。1992年芸術選奨文部大臣賞,1994年紫綬褒章,2003年日本芸術院賞,2009年旭日小綬章を授与された。(→浄瑠璃,人形浄瑠璃)
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