切(読み)セツ

デジタル大辞泉 「切」の意味・読み・例文・類語

せつ【切】

[形動][文][ナリ]
1 心をこめてするさま。ねんごろ。せち。「平和への切なる願い」「切に健闘を祈る」
2 身にしみて強く感じるさま。せち。
「またなによりも―なりしは、大雪降って寒かりしに、秘蔵せし鉢の木を切り、火に焚きあてし志」〈謡・鉢木〉
3 さしせまった事情にあるさま。非常に厳しいさま。せち。
「さなきだに傾城は内しょ―なるものなるに」〈洒・契情買虎之巻〉
[類語]本当・まことに・実じつに・真しんに・まったく・まさに・まさしく・ひとえに・げに・現げんに・ほとほと・すっかり・うんざり・まったく以て・まったくの所・なんとも・実以て・本に・真実・真個・真正・正真しょうしん・事実・実際・紛れもない・他ならない・有りのまま・現実・そのもの・神しん以て・神かみ掛けて・ほんま・正真正銘・いかにも・げんなり・こりごり・食傷・辟易へきえき・閉口・まっぴら・いい加減・果てしない・限りない・つくづく・しみじみ・切切・痛切・切実・深刻・ひしひし・じいん・心から・びんびん・哀切・哀れ・悲しい・物悲しい・うら悲しい・せつない・つらい・痛ましい・悲愴ひそう・悲痛・悲傷・沈痛・もの憂い・苦しい・憂うい・耐えがたい・しんどい・苦痛・やりきれない・たまらない・遣やる瀬ない・断腸の思い・胸を痛める・胸が痛む・胸が塞がる・けだるい・アンニュイ・胸が裂ける・胸が張り裂ける・胸がつかえる・胸が潰れる・胸がつまる・気を揉む・重苦しい・滅入る・気遣わしい・塞ぐ・塞ぎ込む・消沈・しょげる・しょげ返る・沈む・憂鬱・憂愁・沈鬱・メランコリー・鬱・気鬱・気塞ぎ・鬱鬱・陰鬱・暗鬱・鬱屈・鬱結・鬱気うっき・鬱悶うつもん・鬱積・抑鬱・憂さ・鬱陶しい・悶悶もんもん・忍び難い・忍びない・見るに忍びない・見るに堪えない・物寂しい・さびしい・さみしい・心うら寂しい・心こころ寂しい・侘わびしい・人恋しい・孤愁・人懐かしい・物恋しい・小寂しい・哀感・寂寥せきりょう・寂寞せきばく・寂寞じゃくまく・索漠・落莫らくばく・蕭然しょうぜん・蕭蕭しょうしょう・蕭条しょうじょう・蕭殺しょうさつ・寥寥りょうりょう・徒然つれづれ・徒然とぜん・すがれる・うらぶれる・寂れる・たそがれ・萎靡いび・愁い・さむざむ・センチメンタル・落日・廃れる・しんみり・むせぶ・哀愁・悲愁・衰勢・物哀れ・落ちぶれる・物思わしい・衰退・衰残・諦観・春愁・幽愁・秋風索漠・愁思・秋思・愁然・衰亡・孤独・盛者必衰・息苦しい・胸苦しい・悩ましい・憂うれい・有り難迷惑・不如意・惨憺さんたん・骨身にこたえる・骨身に沁しみる・遣る方ない・居ても立っても居られない・矢も盾たてもたまらない・哀惜・感傷的・胸が締め付けられる・身を切る

せつ【切】[漢字項目]

[音]セツ(漢) サイ(呉) [訓]きる きれる
[学習漢字]2年
〈セツ〉
1 刃物などで切る。「切開・切除・切断・切腹・切磋琢磨せっさたくま」
2 こすり合わせる。「切歯」
3 ぴったりする。「剴切がいせつ・適切」
4 さし迫る。身に迫って感じる。しきりに。「切実・切切・切迫・切望/懇切・親切・大切・痛切」
5 漢字音の表記法の一。「反切」
〈サイ〉すべて。「一切合切がっさい」
[難読]切符きっぷ・切支丹キリシタン

せち【▽切】

[形動ナリ]
1 深く心に感じるさま。痛切だ。
「物の興―なるほどに、御前に皆御琴ども参れり」〈源・藤裏葉〉
2 非常に大切だ。重大だ。
「忍びてものし給へ。―なること聞えむ」〈宇津保・国譲下〉
3 心をこめてするさま。熱心だ。
「商人の一銭を惜しむ心―なり」〈徒然・一〇八〉
4 (「せちに」の形で副詞的に用いて)心に深く思いこむさま。ひたすら。極力。いちずに。どうしても。
「女、家を見せじと思ひて―に怨じけり」〈平中・二五〉

さい【切】[漢字項目]

⇒せつ

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精選版 日本国語大辞典 「切」の意味・読み・例文・類語

せち【切】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 心の状態や程度のはなはだしいさま。せつ。
  2. ① ひたむきなさま。それを思うことがしきりで強いさま。いちずなさま。
    1. [初出の実例]「こよひ、中将の朝臣の、せちなる言ひ事の数ありつるを」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
  3. ② ねんごろなさま。心をこめてするさま。
    1. [初出の実例]「年ごろむげに忘れたて侍しに、せちなりし宣旨の恐しさに、からうじて思ひ給へいでて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. ③ しみじみと感慨や興趣を覚えるさま。興深いさま。
    1. [初出の実例]「たのつかさの楽の近く聞ゆるかな。すけずみが笙(さう)にこそあなれ。さやうのものうはらくのひきつれてくる、せちならむかし。見よや」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  5. ④ 身にしみて心に感じるさま。痛切なさま。
    1. [初出の実例]「なげのことばなれど、せちに心に深く入らねど」(出典:枕草子(10C終)二六九)
  6. ⑤ 物事の急迫しているさま。さしせまった様子。重大なさま。大切なさま。
    1. [初出の実例]「のちに身のならんやうもしらで、ちかげのおほい殿に参りて、『せちなること申さむ』といふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
  7. ⑥ ( 「せちに」の形で )
    1. (イ) ひたすら。しきりに。ひどく。ごく。
      1. [初出の実例]「七月十五日の月に出でゐて、せちに物思へるけしきなり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. (ロ) どうしても。ぜひ。
      1. [初出の実例]「仲忠の朝臣に、せちにあはまほしきことなむある」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)

せつ【切】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 心の状態や程度のはなはだしいさま。せち。
    1. ① ひたすらなさま。それを思うことがしきりで強いさま。そのことに一途にとらわれるさま。
      1. [初出の実例]「僧正心ざしの切(セツ)(高良本ルビ)なる事を感じて」(出典:平家物語(13C前)二)
      2. 「父は磯良が切(セツ)なる行止(ふるまひ)を見るに忍びず」(出典:読本・雨月物語(1776)吉備津の釜)
    2. ② ねんごろなさま。心をこめてするさま。
      1. [初出の実例]「昔より今にいたるまで、夫婦の中ほどせつなる事はよもあらじ」(出典:御伽草子・御曹子島渡(室町末))
    3. ③ 感にうたれるさま。身にしみて強く感ずるさま。感情が極限までのぼりつめたさま。
      1. [初出の実例]「此三ケ条の感は、正に無心のせつなり」(出典:拾玉得花(1428))
      2. 「何よりもって切なりしは、大雪ふって寒かりしに、秘蔵せし鉢の木をきり、火に焼(た)きあてしこと」(出典:車屋本謡曲・鉢木(1545頃))
    4. ④ 切迫して急なさま。さしせまったさま。また、しきりであるさま。
      1. [初出の実例]「ありのままにこまかにのたまへとせつにとへば」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)三)
  2. [ 2 ]
    1. ① 中国で反切(はんせつ)法のこと。かえし。〔韵会〕
    2. ② 数学で、線と直線または曲線が一点で接すること。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

きら‐ず【雪花菜・不切】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 豆腐のしぼりかす。おから。卯(う)の花。
    1. [初出の実例]「烏にもちいさき猫はすくみけり〈普船〉 きらづの煙気(いげ)のさめぬ朝霜〈仙化〉」(出典:俳諧・雑談集(1692)下)
  3. ② ささやかな富くじ。
    1. [初出の実例]「きらずでも取たか片身(かたみ)つくらせる」(出典:雑俳・川柳評万句合‐安永六(1777)宮二)

きり【切】

  1. 〘 副詞助 〙 ⇒きり(切)[ 二 ]

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普及版 字通 「切」の読み・字形・画数・意味

切
常用漢字 4画

[字音] セツ・セチ・サイ
[字訓] きる・せまる・するどい

[説文解字]

[字形] 会意
七+刀。〔説文〕四下に「(き)るなり」とし、七(しち)声とするが、七は骨節の形。膝のような部分をいう。そこを切り離して分解する。〔詩、衛風、淇奥(きいく)〕「切するが如く磋(さ)するが如し」の〔伝〕に、「骨を治するを切と曰ふ」とみえる。切断には殊に注意と技術とを要するので、緊切・切要の意となる。

[訓義]
1. きる、たつ、はなつ、さく。
2. せまる、ちかづく。
3. するどい、適切、緊切。
4. 要所、肝要、大事。
5. つつしむ、つとめる。
6. ねんごろ、ふかい。
7. すべて、およそ、おおい、みな。
8. 砌(せい)と通じ、みぎり。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕切 ニハカニ・セム・サク・タシカニ・チカシ・キル・モク・クヒシバル 〔字鏡集〕切 ウレフ・アハネシ・ヒロシ・イソグ・タシカニ・ニハカニ・ネンゴロ・ハヲクヒシバル

[語系]
切tsyet、七tsietは声近く、七は骨節の象。その部分を切断する。(膝)sietは骨節のうち、膝頭の部分をいう。また砌tsyetは同声。砌は門限。syet、楔siatもみな門限のところ、家の構造でいえば内外を分かつところに当たる。

[熟語]
切惟▶・切雲▶・切愨▶・切愕▶・切諫▶・切記▶・切議▶・切急▶・切響▶・切近▶・切激▶・切言▶・切骨▶・切瑳▶・切嗟▶・切磋▶・切至▶・切歯▶・切偲▶・切摯▶・切字▶・切謝▶・切須▶・切祝▶・切峻▶・切象▶・切情▶・切譲▶・切正▶・切責▶・切切▶・切促▶・切嘆▶・切断▶・切中▶・切直▶・切痛▶・切当▶・切腹▶・切望▶・切磨▶・切務▶・切免▶・切問▶・切諭▶・切憂▶・切用▶・切要▶・切▶・切論▶
[下接語]
哀切・一切・音切・苛切・外切・剴切・切・簡切・切・急切・禁切・緊切・勁切・警切・激切・言切・厳切・懇切・磋切・惨切・心切・深切・親切・声切・凄切・清切・誠切・大切・忠切・真切・痛切・適切・反切・悲切・切・摩切・憂切

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「切」の意味・わかりやすい解説

切
きり

義太夫節浄瑠璃各段のなかで最も重要な,山場をなす部分。切場ともいう。初期には詰または奥とも表記した。3段目,4段目の切は特に重い場とされ,紋下など最上位の太夫が語る。切場を語る資格のある太夫を切語りと呼ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内の切の言及

【切見世】より

…1軒1妓を原則とし,抱主は数軒を管理営業した。切(きり)とは時間売りの意で,一切(ひときり)100文が相場であった。この揚代は上級妓のそれの10分の1というものであったが,一切の時間の短いこともあって,その数倍を支払わさせることが多かったようである。…

※「切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」