(読み)きり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


きり

義太夫節浄瑠璃各段のなかで最も重要な,山場をなす部分。切場ともいう。初期には詰またはとも表記した。3段目,4段目の切は特に重い場とされ,紋下など最上位の太夫が語る。切場を語る資格のある太夫を切語りと呼ぶ。

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デジタル大辞泉の解説

さい【切】[漢字項目]

せつ

せち【切】

[形動ナリ]
深く心に感じるさま。痛切だ。
「物の興―なるほどに、御前に皆御琴ども参れり」〈・藤裏葉〉
非常に大切だ。重大だ。
「忍びてものし給へ。―なること聞えむ」〈宇津保・国譲下〉
心をこめてするさま。熱心だ。
「商人の一銭を惜しむ心―なり」〈徒然・一〇八〉
(「せちに」の形で副詞的に用いて)心に深く思いこむさま。ひたすら。極力。いちずに。どうしても。
「女、家を見せじと思ひて―に怨じけり」〈平中・二五〉

せつ【切】

[形動][文][ナリ]
心をこめてするさま。ねんごろ。せち。「平和へのなる願い」「に健闘を祈る」
身にしみて強く感じるさま。せち。
「またなによりも―なりしは、大雪降って寒かりしに、秘蔵せし鉢の木を切り、火に焚きあてし志」〈謡・鉢木
さしせまった事情にあるさま。非常に厳しいさま。せち。
「さなきだに傾城は内しょ―なるものなるに」〈洒・契情買虎之巻

せつ【切】[漢字項目]

[音]セツ(漢) サイ(呉) [訓]きる きれる
学習漢字]2年
〈セツ〉
刃物などで切る。「切開切除切断切腹切磋琢磨(せっさたくま)
こすり合わせる。「切歯
ぴったりする。「剴切(がいせつ)適切
さし迫る。身に迫って感じる。しきりに。「切実切切切迫切望懇切親切大切痛切
漢字音の表記法の一。「反切
〈サイ〉すべて。「一切合切(がっさい)
[難読]切符(きっぷ)切支丹(キリシタン)

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大辞林 第三版の解説

せち【切】

( 形動ナリ )
心に強く感ずるさま。身にしみるさま。痛切。 「物の興-なる程に、御前に皆琴ども参れり/源氏 藤裏葉
一生懸命事を行うさま。熱心。 「 -なりし宣旨の恐しさに/宇津保 俊蔭
物事のさし迫っているさま。緊要。 「 -なること申さむといふ/宇津保 忠こそ
(「せちに」の形で)
きわめて。特に。 「物のいと-にいぶせき折々は/源氏 明石
どうしても。是非とも。 「かしこにいと-に見るべき事の侍るを/源氏 若紫

せつ【切】

( 形動 ) [文] ナリ 
思いがひたすらで強いさま。せち。 「 -なる願い」 「成功を祈ること-である」 → 切に
感にうたれるさま。身にしみて強く感ずるさま。
切迫せつぱくしているさま。

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精選版 日本国語大辞典の解説

きら・す【切】

〘他サ五(四)〙
① 切れた状態にする。
※玉塵抄(1563)一四「庭に立て七日七夜哭して声をきらさずないたぞ」
② 貯えていた品物をすっかりなくす。
狂言記・止動方角(1730)「手前に茶をきらしました」
③ 惜しげもなく金を使う。気前をよくする。
滑稽本・古今百馬鹿(1814)下「新参の内は古参にいぢめられるし、〈略〉金(きん)にもならぬくせに、銭をつかって切らさねへぢゃアならず」
④ 切れるようにする。慣用表現の中に用いられる。「息をきらす」「しびれをきらす」など。

きり【切】

〘副助〙 ⇒きり(切)(二)

き・れる【切】

〘自ラ下一〙 き・る 〘自ラ下二〙
[一] つながっているもの、続いているものなどが分かれ離れる。また、断たれる。絶える。
① 一続きになっていたものが、分かれ離れる。
※大和(947‐957頃)一〇三「いとかうばしき紙にきれたる髪を少しかいわがねてつつみたり」
② 傷ついたり、裂け目ができたりする。
※古事記(712)下・歌謡「岐礼(キレ)む柴垣 焼けむ柴垣」
③ 結びついていたものが離れる。また、つながっていた関係が断たれる。特に、関係のあった男女が離別する。
※日葡辞書(1603‐04)「ナカガ qiruru(キルル)
※人情本・英対暖語(1838)初「よくマア他(よそ)の人は情人(いろ)に切(キレ)たの止(やめ)たのと言て居られるものだ」
④ 音信、話、また、持ち続けていた気持などが絶える、または断たれる。
※六物図抄(1508)「衆中へ捨になにとて地獄に落ぞなれば、捨ども念がきれざる故也」
⑤ (命が)とだえる。死ぬ。
※狂歌・古今夷曲集(1666)六「家もなき山路もてこしやき食にきるる命をむすびとめずや」
⑦ 並び続いているものが、とだえる。また、囲碁で、石のつながりがつかなくなる。
※坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉七「大抵平仮名だから、どこで切れて、どこで始まるのだか句読をつけるのに余っ程骨が折れる」
⑧ 使ったり売れたりして、物が尽きる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)四立「不漁だと云って、魚は切れる、誠にお麁末な事サ」
⑨ ある定められた時間が尽きる。期限になる。
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下「余り徐(ゆ)る徐るすると時間が切れるぜ」
⑩ (こらえていた気持が途切れて) 逆上する。多く、現代の若者が用いる。
[二] (「事きれる」の形で用いられる)
① 物事が定まる。
※愚管抄(1220)五「二つ三つさしあはせてあしき事の出きぬる上は、よき事もわろき事も其時ことは切(きる)るなり」
② (物事の結末がつく意から) 息が絶える。
※保元(1220頃か)中「其の日の午の刻計(ばかり)に御こときれにけり」
[三]
① 刃物などで、力を加えて、物を分け離すことができる。鋭い切れ味をもつ。
※日葡辞書(1603‐04)「コノ カミソリワ qirenu(キレヌ)
② (転じて) 物事をうまく処理できる。また、そういう頭脳・手腕をもつ。
※日葡辞書(1603‐04)「qireta(キレタ) ヒト」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉閨閥「碌な学問もなく事務の切れるといふ伎倆(うでまへ)でもないが」
③ 勢力をもつ。幅がきく。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「これから山田の妙見町にいっしょにとまって、古市をおごろかいな。わしゃあこではゑらふきれるがな」
④ 金銭などを惜しみなく手放す。気前よく行なう。
※浄瑠璃・賀古教信七墓廻(1714頃)三「しんだいよしの粋大尽、心のきれたさばき手」
⑤ まっすぐ進まないで、横へそれる。また、道などを進んで行って、右または左へ曲がる。
※日葡辞書(1603‐04)「ウマガ qiruru(キルル)
※浄瑠璃・浦島年代記(1722)七世の鏡「舞ふ小羽根、よそへきるるな、それ、ゆくな」

せち【切】

〘形動〙 心の状態や程度のはなはだしいさま。せつ。
① ひたむきなさま。それを思うことがしきりで強いさま。いちずなさま。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「こよひ、中将の朝臣の、せちなる言ひ事の数ありつるを」
② ねんごろなさま。心をこめてするさま。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「年ごろむげに忘れたて侍しに、せちなりし宣旨の恐しさに、からうじて思ひ給へいでて」
③ しみじみと感慨や興趣を覚えるさま。興深いさま。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「たのつかさの楽の近く聞ゆるかな。すけずみが笙(さう)にこそあなれ。さやうのものうはらくのひきつれてくる、せちならむかし。見よや」
④ 身にしみて心に感じるさま。痛切なさま。
※枕(10C終)二六九「なげのことばなれど、せちに心に深く入らねど」
⑤ 物事の急迫しているさま。さしせまった様子。重大なさま。大切なさま。
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「のちに身のならんやうもしらで、ちかげのおほい殿に参りて、『せちなること申さむ』といふ」
⑥ (「せちに」の形で)
(イ) ひたすら。しきりに。ひどく。ごく。
※竹取(9C末‐10C初)「七月十五日の月に出でゐて、せちに物思へるけしきなり」
(ロ) どうしても。ぜひ。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「仲忠の朝臣に、せちにあはまほしきことなむある」

せつ【切】

[1] 〘形動〙 心の状態や程度のはなはだしいさま。せち。
① ひたすらなさま。それを思うことがしきりで強いさま。そのことに一途にとらわれるさま。
※平家(13C前)二「僧正心ざしの切(セツ)(高良本ルビ)なる事を感じて」
※読本・雨月物語(1776)吉備津の釜「父は磯良が切(セツ)なる行止(ふるまひ)を見るに忍びず」
② ねんごろなさま。心をこめてするさま。
※御伽草子・御曹子島渡(室町末)「昔より今にいたるまで、夫婦の中ほどせつなる事はよもあらじ」
③ 感にうたれるさま。身にしみて強く感ずるさま。感情が極限までのぼりつめたさま。
※拾玉得花(1428)「此三ケ条の感は、正に無心のせつなり」
※車屋本謡曲・鉢木(1545頃)「何よりもって切なりしは、大雪ふって寒かりしに、秘蔵せし鉢の木をきり、火に焼(た)きあてしこと」
④ 切迫して急なさま。さしせまったさま。また、しきりであるさま。
※宇治拾遺(1221頃)三「ありのままにこまかにのたまへとせつにとへば」
[2]
① 中国で反切(はんせつ)法のこと。かえし。〔韵会〕
② 数学で、線と直線または曲線が一点で接すること。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

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世界大百科事典内のの言及

【切見世】より

…1軒1妓を原則とし,抱主は数軒を管理営業した。切(きり)とは時間売りの意で,一切(ひときり)100文が相場であった。この揚代は上級妓のそれの10分の1というものであったが,一切の時間の短いこともあって,その数倍を支払わさせることが多かったようである。…

※「切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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