第四性病(読み)ダイヨンセイビョウ

デジタル大辞泉 「第四性病」の意味・読み・例文・類語

だいよん‐せいびょう〔‐セイビヤウ〕【第四性病】

鼠蹊そけいリンパ肉芽腫にくがしゅのこと。古くから性病として知られる淋病りんびょう軟性下疳なんせいげかん梅毒に次いで病原体が判明したのでいう。だいしせいびょう。

だいし‐せいびょう〔‐セイビヤウ〕【第四性病】

だいよんせいびょう(第四性病)

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精選版 日本国語大辞典 「第四性病」の意味・読み・例文・類語

だいし‐せいびょう‥セイビャウ【第四性病】

  1. 〘 名詞 〙 梅毒、淋疾軟性下疳につづく四番めの性病。ウイルスによるもので、性交によって感染する。鼠蹊(そけい)部のリンパ節の腫れが主症状。鼠蹊リンパ肉芽腫症。〔現代術語辞典(1931)〕

だいよん‐せいびょう‥セイビャウ【第四性病】

  1. 〘 名詞 〙だいしせいびょう(第四性病)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「第四性病」の意味・わかりやすい解説

第四性病(だいよんせいびょう)
だいよんせいびょう

以前は宮川小体といわれ、現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydia trachomatisとよばれる病原体により発生する性病であり、鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(にくがしゅ)(症)あるいは性病性リンパ肉芽腫(症)lymphogranuloma venereum(略称LGV)ともいう。性交による感染から1~2週間後に感染部位である外陰部に小さいしこりができたのち、小水疱(すいほう)から潰瘍(かいよう)になるが、自覚症状がないために見逃されることが多い。その約1週間後に鼠径部リンパ節が腫(は)れ上がり、リンパ節周囲炎症も発生するので、腫れ上がったリンパ節は互いにくっつき合うために全体として塊状になる。この塊は皮膚と癒着するとともに、その表面の皮膚が暗赤色になり、さらにリンパ節が化膿(かのう)、軟化し、これが破れて粘液性の膿(うみ)、ときにはさらさらとした、または出血性の膿が表面の皮膚に排出される。一般にはリンパ節は片側のみ侵され、圧迫すると多少痛みがある。このような時期には高熱寒気、ふるえ、食欲不振、衰弱など全身症状を合併することが多い。この際、肝臓脾臓(ひぞう)が腫れたり、全身のリンパ節がすべて腫れてくるほか、白血球増加症を伴うことも多い。

 この病気の特別の型として、女子の場合は骨盤内リンパ節が侵され、外陰部に1個ないし数個の潰瘍が発生したのちに尿道や直腸の周囲に浮腫(ふしゅ)が生じ、その後きわめて強い硬化が出現することがある。このような状態が慢性に経過して象皮症のようになってくるために、尿道と直腸が硬くなり、また狭くなってくる。これをエスチオメーヌという。

 近年はこの疾患に対して、サルファ剤やテトラサイクリン系またはマクロライド系薬剤による治療が行われるようになっているので、症例がきわめて減少している。

[岡本昭二]


第四性病(だいしせいびょう)
だいしせいびょう

第四性病

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改訂新版 世界大百科事典 「第四性病」の意味・わかりやすい解説

第四性病 (だいしせいびょう)

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百科事典マイペディア 「第四性病」の意味・わかりやすい解説

第四性病【だいしせいびょう】

鼠径(そけい)リンパ肉芽腫

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世界大百科事典(旧版)内の第四性病の言及

【鼠径リンパ肉芽腫】より

…以前には宮川小体と呼ばれていたが,現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydiae trachomatisと呼ばれる病原体によって起こる性病で,第四性病,性病性リンパ肉芽腫とも呼ばれる。性交による感染後1~2週間で,男性では,外陰部に小さい隆起または小水疱ができるが気づかないことが多い。…

【性病】より

…おもに性交によって人から人へ感染していく病気の総称で,梅毒淋病軟性下疳(なんせいげかん)および鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(第四性病)が含まれる。俗に花柳(かりゆう)病などともいわれた。…

【鼠径リンパ肉芽腫】より

…以前には宮川小体と呼ばれていたが,現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydiae trachomatisと呼ばれる病原体によって起こる性病で,第四性病,性病性リンパ肉芽腫とも呼ばれる。性交による感染後1~2週間で,男性では,外陰部に小さい隆起または小水疱ができるが気づかないことが多い。…

※「第四性病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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