以前は宮川小体といわれ、現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydia trachomatisとよばれる病原体により発生する性病であり、鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(にくがしゅ)(症)あるいは性病性リンパ肉芽腫(症)lymphogranuloma venereum(略称LGV)ともいう。性交による感染から1~2週間後に感染部位である外陰部に小さいしこりができたのち、小水疱(すいほう)から潰瘍(かいよう)になるが、自覚症状がないために見逃されることが多い。その約1週間後に鼠径部リンパ節が腫(は)れ上がり、リンパ節周囲の炎症も発生するので、腫れ上がったリンパ節は互いにくっつき合うために全体として塊状になる。この塊は皮膚と癒着するとともに、その表面の皮膚が暗赤色になり、さらにリンパ節が化膿(かのう)、軟化し、これが破れて粘液性の膿(うみ)、ときにはさらさらとした、または出血性の膿が表面の皮膚に排出される。一般にはリンパ節は片側のみ侵され、圧迫すると多少痛みがある。このような時期には高熱、寒気、ふるえ、食欲不振、衰弱など全身症状を合併することが多い。この際、肝臓や脾臓(ひぞう)が腫れたり、全身のリンパ節がすべて腫れてくるほか、白血球増加症を伴うことも多い。
この病気の特別の型として、女子の場合は骨盤内リンパ節が侵され、外陰部に1個ないし数個の潰瘍が発生したのちに尿道や直腸の周囲に浮腫(ふしゅ)が生じ、その後きわめて強い硬化が出現することがある。このような状態が慢性に経過して象皮症のようになってくるために、尿道と直腸が硬くなり、また狭くなってくる。これをエスチオメーヌという。
近年はこの疾患に対して、サルファ剤やテトラサイクリン系またはマクロライド系薬剤による治療が行われるようになっているので、症例がきわめて減少している。
[岡本昭二]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…以前には宮川小体と呼ばれていたが,現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydiae trachomatisと呼ばれる病原体によって起こる性病で,第四性病,性病性リンパ肉芽腫とも呼ばれる。性交による感染後1~2週間で,男性では,外陰部に小さい隆起または小水疱ができるが気づかないことが多い。…
…おもに性交によって人から人へ感染していく病気の総称で,梅毒,淋病,軟性下疳(なんせいげかん)および鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(第四性病)が含まれる。俗に花柳(かりゆう)病などともいわれた。…
…以前には宮川小体と呼ばれていたが,現在ではクラミジア・トラコマチスChlamydiae trachomatisと呼ばれる病原体によって起こる性病で,第四性病,性病性リンパ肉芽腫とも呼ばれる。性交による感染後1~2週間で,男性では,外陰部に小さい隆起または小水疱ができるが気づかないことが多い。…
※「第四性病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新