翻訳|dolerite
ドレライトともいう。玄武岩と同じような化学組成をもつ中粒の火成岩で、普通輝石(オージャイト)の大きな結晶の中に斜長石の細長い結晶が一部分はめ込まれたように組み合わさった組織(オフィチック組織という)を示すことが多い。外観は緻密(ちみつ)で暗灰緑色である。(1)ソレアイト系列と(2)アルカリ岩系列のものが多く、カルク・アルカリ岩系列のものは少ない。(1)の構成鉱物は斜長石(亜灰長石(バイトゥナイト)―曹灰長石(ラブラドライト))と単斜輝石、橄欖(かんらん)石、チタン磁鉄鉱、チタン鉄鉱、アルカリ長石、微量の燐灰(りんかい)石で、まれに斜方輝石も含まれる。単斜輝石の結晶は内部が普通輝石で外側がピジョン輝石pigeonite(カルシウムに乏しい単斜晶系の輝石)になっていることがある。斜方輝石にはマグマから直接晶出したものと、ピジョン輝石から転移したものとがある。橄欖石の結晶の周囲にピジョン輝石か斜方輝石の反応縁ができていることが多い。石英を含むときは石英粗粒玄武岩という。(2)はアルカリ橄欖石粗粒玄武岩とよばれる。構成鉱物は斜長石(曹灰長石―中性長石(アンデシン))、橄欖石、チタンに富む普通輝石、チタン磁鉄鉱、チタン鉄鉱、アルカリ長石、少量の燐灰石である。黒雲母(くろうんも)、角閃(かくせん)石(ケルスート閃石)、沸石(方沸石)を含むことがある。方沸石を多く含む場合は方沸石粗粒玄武岩またはテッシェン岩tescheniteという。
粗粒玄武岩は小規模な貫入岩体(岩脈やシル)をつくるのが普通である。ソレアイト系列のものには延長100キロメートル以上という大規模な岩脈(南アフリカのカルーにある)が知られており、ほかにもアメリカ、ニュー・ジャージー州のパリセーズ、オーストラリアのタスマニア、南極にあるものが有名である。これらの岩体では、マグマが貫入してから完全に固結するまでの間に岩体の内部で結晶の沈降がおこって鉱物組成の変化が顕著になっている。そのため地下浅所での玄武岩質マグマの結晶分化作用のメカニズムを研究するのに好適な例として詳しく研究されている。日本やイギリスで粗粒玄武岩といっている岩石をアメリカでは輝緑岩diabaseとよぶことが多い。輝緑岩とはもともとドイツで新生代第三紀以前にできた岩石に対して用いられた岩石名で、イギリスでは粗粒玄武岩が変質して輝石が角閃石に置換されている場合に輝緑岩という。日本でもイギリスと同じ意味で用いている。
[千葉とき子]
半深成岩の一つ。ドレライトdoleriteともいう。化学組成上これに対応するものは,火山岩では玄武岩,深成岩では斑レイ岩。構成鉱物は斜長石と輝石が主で,ほかにカンラン石,石英などをもつことがある。輝石はオージャイトが多く,アルカリ質マグマに由来するものはチタンオージャイト質になる。石英を含むものでは斜方輝石が多い。ピジョン輝石を含むこともある。褐色ホルンブレンド,黒雲母はまれに粗粒な部分に見られる。カンラン石を含むものは,カンラン石粗粒玄武岩とよぶ。玄武岩と異なるのはガラスを含まず結晶がより粗粒であることであるが,斑レイ岩ほど粗粒ではない。オフィティック組織が顕著。大きい岩脈,岩床,ラコリスなどをなして産する。
粗粒玄武岩と同じような岩石に輝緑岩diabaseとよばれるものがある。イギリスで粗粒玄武岩とよぶものを,アメリカでは輝緑岩とよぶ。イギリスでは変質した粗粒玄武岩だけを輝緑岩とよぶ。もともとドイツでは,第三紀より古い地質時代のものを輝緑岩とよび,第三紀以後のものを粗粒玄武岩とよんだ。
執筆者:諏訪 兼位
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新