結膜下出血(読み)けつまくかしゅっけつ(英語表記)subconjunctival hemorrhage

  • (眼の病気)
  • Hyposphagma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

結膜,特に球結膜上皮に起る出血白眼が真赤になって驚かされる。明らかな外傷によるものを除くと,原因不明のことが多い。老人では高血圧に注意する。出血性素因についても調べる必要がある。出血が多量のときは止血剤を投与し,冷湿布をするが,2~3日を経て再出血がなければ,温罨法をして吸収を促進させる。

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 突然、結膜が出血により赤くなる状態です。その程度はさまざまで、結膜全体が真っ赤になるものから、一部がうっすらと赤くなるだけのものまであります(図15)。このほか、各種の結膜炎に伴うものはそれらの項を参照してください。

原因は何か

 外傷、炎症、血液疾患、高血圧など、原因が特定できるものもありますが、はっきりとした原因のないものが大多数です。

 加齢とともに結膜上皮と結膜下の組織との接着がゆるくなり、そこを横切る細い血管が眼球運動などによって過度に伸展されて破れ、出血すると考えられています。加齢とともに血管自体がもろくなることも原因のひとつでしょう。

症状の現れ方

 起床後、鏡を見て赤さに気づいたり、人から指摘されて初めて気づくことが多い病気です。軽度の異物感を伴うことがありますが、普通、痛みはありません。目やに(眼脂(がんし))も出ません。

検査と診断

 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡(スリットランプ)による通常の眼科検査で容易に診断できます。繰り返して出血する場合は、血液検査をして全身的に出血しやすい状態かどうかを調べます。

治療の方法

 出血は徐々に吸収され、通常10日~2週間で自然に治ります。ただ、繰り返して出血する場合は、止血薬などを投与することもあります。また、原因となる病気があればその治療が必要です。

病気に気づいたらどうする

 痛みや目やにがなく、結膜が赤いのが充血でなく出血であるとわかれば、様子をみてかまいません。

 出血と充血の区別がつかなければ専門医の診察を受けてください。

森 秀夫


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

EBM 正しい治療がわかる本の解説

どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 目の結膜(けつまく)(白目の部分)の下にある毛細血管が破れ、出血した状態をいいます。
 白目が真っ赤に染まり、出血の量が多い場合などにはゴロゴロするような異物感を感じるときもあります。とくに痛みは感じませんが、痛みやかゆみ、目やになどの症状がある場合は細菌感染をおこしていることもあるので、眼科への受診が必要になります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 目を強くこする、打撲やコンタクトレンズなどによる外傷、飲酒、ストレスや徹夜などによる寝不足などが原因となります。また、とくに原因がなくても、年齢に伴って毛細血管が脆弱(ぜいじゃく)になってきたり、無意識に手で目をこすったりするだけでおこることも多く、そのような場合は心配ありません。
 症状がくり返しおこるようであれば、ほかに病気がないか、いちどは内科的に調べてもらったほうがよいでしょう。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]自然に出血が吸収されるのを待つ
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 原因の多くは、加齢によって毛細血管がもろくなることで、睡眠中などに無意識に手で目をこすったりして破れたためにおこるものです。そのため、とくに薬も使わないで、自然に出血が吸収されるのを待つのが一般的です。これはいくつかの信頼性の高い臨床研究によって確認されています。(1)(2)

[治療とケア]明らかに外傷を受けたときは、眼科を受診する
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 出血の原因が打撲やコンタクトレンズの装着による傷などの場合もあります。このような場合は早めに専門医の診断を受け、傷の状態を確認したうえで、処置したほうがいいでしょう。(1)(2)

[治療とケア]血管収縮薬を用いる
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 赤みがなかなかおさまらないときに用います。出血を抑える効果は臨床研究によって確認されていますが、緑内障の患者さんでは使用禁止です。高血圧を招く場合もあるので使用する場合は注意が必要です。(4)(5)

[治療とケア]白目が赤くなる以外の症状があるときは眼科を受診する
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 痛みやかゆみ、目やになどの症状がある場合は、細菌やウイルスによる感染をおこしていることもあります。眼科を受診してほかの病気がないか確かめるべきでしょう。(1)(2)

[治療とケア]なんども同じ症状をくり返すときは内科を受診する
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 症状がくり返しおこったり、発熱を伴ったりするときは出血をおこしやすくなる全身性の病気が疑われます。たとえば、慢性腎障害で白目が真赤(Red Eye)になることがあります。内科を受診して、ほかの病気がないか確認すべきでしょう。(1)~(3)


よく使われている薬をEBMでチェック

[評価のポイント] 現在効果が確認されている薬物はありません。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
自然に治るのを待つ
 当然のことですが、白い眼球結膜が出血のため赤くなると目立ち、だれでも強い不安感を抱きます。しかし、多くの場合、小さな毛細血管が破れたためであり、その原因は、年齢に伴った毛細血管の脆弱性にあったり、睡眠中などに無意識に手で目をこすったりしたためのもので、まったく心配ありません。
 そのため、とくに薬も使わないで、自然に吸収されるのを待つのが一般的です。1~2週間もすればすっかり元通りになるはずです。
 視力に異常があったり、目の痛み、吐き気や嘔吐、羞明(しゅうめい)(過度にまぶしさを感じる状態)やひどい異物感などがある場合には眼科を受診するようにしましょう。

症状がくり返し出る場合は、ほかの病気の有無や薬を調べる
 なんども結膜下出血をくり返す人や、動脈硬化による心臓病などに対処するために抗凝固薬、抗血小板薬などを服用している人では、全身性の病気の有無や薬の量が多すぎないかどうかを注意深く調べる必要があります。

(1)Dart JK. Eye disease at a community health centre. Br Med J (Clin Res Ed). 1986;293:1477-1480.
(2)Leibowitz HM. The Red Eye. N Engl J Med. 2000;343:345-351.
(3)Klaassen-Broekema N, van Bijsterveld OP. The role of serum calcium in the development of the acute red eye in chronic renal failure. Eur J Ophthalmol. 1995;5:7-12.
(4)伊藤清. プリビナ及びアドレナリン点眼の眼部小血管収縮作用に関する比較観察. 眼科臨床医報. 1954;48:734-736.
(5)今野信一. プリビナに関する二,三の臨牀試験に就て.日本眼科紀要. 1955;6:135-138.

出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報

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