綏靖天皇(読み)スイゼイテンノウ

デジタル大辞泉 「綏靖天皇」の意味・読み・例文・類語

すいぜい‐てんのう〔‐テンワウ〕【綏靖天皇】

記紀で、第2代の天皇神武天皇の第3皇子。名は神渟名川耳かんぬなかわみみ大和葛城かつらぎ高丘宮たかおかのみやを都にしたという。

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精選版 日本国語大辞典 「綏靖天皇」の意味・読み・例文・類語

すいぜい‐てんのう‥テンワウ【綏靖天皇】

  1. 第二代と伝える天皇。神武天皇の第三皇子。名は神渟名川耳尊(かんぬなかわみみのみこと)。母は媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)。「日本書紀」の記述によれば、葛城高丘宮(かずらきのたかおかのみや)に遷都し、在位三三年、八四歳(「古事記」では四五歳)で没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「綏靖天皇」の意味・わかりやすい解説

綏靖天皇
すいぜいてんのう

皇室系譜に第2代と伝える天皇。『日本書紀』によれば、国風諡号(しごう)は神渟名川耳尊(かんぬなかわみみのみこと)。神武(じんむ)天皇の第3子で、母は媛蹈韛五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)。神武天皇の没後、庶兄手研耳命(たぎしみみのみこと)を討って綏靖元年即位、都を葛城(かつらぎ)(奈良県御所(ごせ)市の南部)の高丘宮(たかおかのみや)に定め、同2年、母の妹五十鈴依媛命(いすずよりひめのみこと)を皇后とし、同33年に84歳(『古事記』では45歳)で没して倭(やまと)の桃花鳥田丘上陵(つきだのおかのかみのみさざき)に葬られたという。

[星野良作]

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朝日日本歴史人物事典 「綏靖天皇」の解説

綏靖天皇

『日本書紀』により第2代と伝えられる天皇。神武天皇の末子。名は神渟名川耳。母は『古事記』では三輪山の神大物主の娘,『日本書紀』では事代主神の娘とする。父の死後,異母兄の手研耳命(タギシミミノミコト)が綏靖の母と結婚し,さらに王位を奪うために弟たちの殺害を企てた。綏靖は兄と共に逆にこれを討つが,このとき兄は手足がふるえタギシミミ殺害を果たせず,綏靖は一矢で仕留めた。その勇猛ぶりにより,弟ではあるが王位に就いたとされる。初代の死後早くも起きた王位をめぐる闘争劇であり,資格ある者のうち力のある者が王位を得るとする思想を語っていよう。葛城高丘(御所市)に宮を営み,桃花鳥田丘上陵(橿原市)に葬られたと伝える。

(溝口睦子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綏靖天皇」の意味・わかりやすい解説

綏靖天皇
すいぜいてんのう

第2代に数えられる天皇。名はカンヌナカワミミノミコト。神武天皇の第3皇子,母は皇后ヒメタタライスズヒメノミコト。皇太子になっていたが,神武天皇の没後,政務をとっていた庶兄タキシミミノミコトが皇位を望んで皇太子を除こうとしたので,皇兄カンヤイミミノミコトとはかり,タキシミミノミコトを殺して即位し,大和の葛城高丘宮(かづらきのたかおかのみや)に都したと伝えられる。イスズヨリヒメノミコトを立てて皇后とした。陵墓は奈良県橿原市四条町の桃花鳥田丘上陵(つきだのおかのえのみささぎ)。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「綏靖天皇」の解説

綏靖天皇 すいぜいてんのう

記・紀系譜による第2代天皇。
父は神武(じんむ)天皇。母は媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)。伝説上の人物ともいわれる。「日本書紀」によると,48歳のとき父が死に,翌年即位。都は葛城(かずらき)の高丘(たかおかの)宮。綏靖天皇33年5月10日死去。84歳。墓所は桃花鳥田丘上陵(つきだのおかのえのみささぎ)(奈良県橿原市)。別名は神渟名川耳天皇(かむぬなかわみみのすめらみこと)。

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世界大百科事典(旧版)内の綏靖天皇の言及

【手研耳命】より

…《日本書紀》神武天皇条には,神武天皇が日向にいたときに吾平津媛(あひらつひめ)と結婚して生まれた子とある。《日本書紀》綏靖天皇条には,神武天皇の死に際し,タギシミミは天子の位をねらい,禍(まが)の心で,神八井耳(かむやいみみ)命,神渟名川耳(かむぬなかわみみ)尊(綏靖天皇)の2兄弟(母は姫踏鞴五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ)命)を殺害しようとし,逆にカムヌナカワミミによって射殺されたとされている。【西宮 一民】。…

※「綏靖天皇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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