網子(読み)アゴ

デジタル大辞泉 「網子」の意味・読み・例文・類語

あ‐ご【網子】

網を引く人。あみこ。
網引あびきすと―ととのふる海人あまの呼び声」〈・二三八〉

あみ‐こ【網子】

魚をとる網を引く漁師。また主として江戸時代に、網主網元)に雇われ、漁業に従事した者。あご。あんご。

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精選版 日本国語大辞典 「網子」の意味・読み・例文・類語

あ‐ご【網子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あ」は、網の意 )
  2. 網引きの共同作業に従事する者。地引き網を引く人。あみこ。あんご。
    1. [初出の実例]「大宮の内まで聞ゆ網引すと網子(あご)調ふる海人の呼び声」(出典万葉集(8C後)三・二三八)
  3. 漁師。〔日葡辞書(1603‐04)〕

あみ‐こ【網子】

  1. 〘 名詞 〙 網漁の際、網を引く者。網漁の経営者である網元に労力を提供し、実際漁労に従う者。網元は多く、村の有力者なので、強い隷属関係に置かれていることが多かった。あご。おご。⇔網元
    1. [初出の実例]「浦手の網子数十人」(出典:浄瑠璃・浦島年代記(1722)一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「網子」の意味・わかりやすい解説

網子
あみこ

網元(網親)に従属して、その指導指揮もとに漁労に携わる人のこと。多人数を必要とする網漁業に存在し、単に漁夫を意味するカコ、フナカタなどとは異なる。

[野口武徳]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「網子」の解説

網子
あみこ

アゴ・アンゴ・オーゴとも。多人数の合力を必要とする網漁業組織のなかで漁労操作にたずさわる漁夫。網漁業経営者の網親・網主に労力を提供する。網主と網子は主従関係の強い世襲的な親方・子方の関係にあるものと,共同作業の役割分担の関係を示すだけの場合とがある。網子各自の漁獲物の分配は一般に平等だが,特別な技術を要する漁では,網子の間に差をつけることもある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「網子」の解説

網子
あみこ

網元のもとで,その労力を提供し,実際の漁労に従事するもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「網子」の意味・わかりやすい解説

網子
あみこ

「網主・網子」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の網子の言及

【網元】より

…82年海上郡の一報告によると,地引網一式(漁船を含む)代が大地引網で6000円,中地引網で4600円,小地引網で2600円ほどであった。網元となるには,ほかに水夫(網子)前貸金として約1000円ぐらい必要であったという。だから網元は普通石高所持も大きく,また名主や酒造家などの有力者であった。…

【船元】より

…江戸時代,網漁,釣漁で網,漁船等を提供した漁業経営者をいう。これに対し雇われて乗り組む漁民を網子,釣子,船方などと呼んだ。能登半島東岸(石川県)鳳至(ふげし)郡藤波のブリ台網漁の場合,総百姓持の2漁場を上下両網組が隔年交替で操業,各網組ではそれぞれ持高に応じて持株の割当てをうけた百姓が,持株にしたがって労力,資力を提供し,収益の配分をうけるしくみであった。…

※「網子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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