(読み)し

精選版 日本国語大辞典 「緇」の意味・読み・例文・類語

し【緇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 黒色の帛(きぬ)。また、その色。
    1. [初出の実例]「大凡天下之不家緇一レ衣在君臣父子夫婦昆弟朋友之間者、挙皆儒人也」(出典:童子問(1707)下)
    2. [その他の文献]〔周礼‐冬官考工記・鍾氏〕
  3. 黒色の衣。墨染の衣。僧衣
    1. [初出の実例]「披緇却怕緇倫、恰似秦人不秦」(出典:丱余集(1409頃)上・謝客)
    2. [その他の文献]〔高啓‐答衍師見贈詩〕
  4. ( から転じて ) 僧をいう。
    1. [初出の実例]「日興忘倦。任公卿之所一レ表。従耆緇之所一レ乞」(出典:続日本紀‐天平宝字二年(758)八月庚子)
    2. [その他の文献]〔岑参‐虢州送鄭興宗弟帰扶風別廬詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「緇」の読み・字形・画数・意味


14画

(異体字)
9画

[字音]
[字訓] くろぎぬ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(し)。〔説文〕十三上に「帛(きぬ)の色なるものなり」とみえる。〔周礼、考工記、鍾氏〕は染色のことを掌るもので、七入して黒となるものを緇という。僧衣にはその色を用いるので、僧を緇流緇徒という。

[訓義]
1. くろ、くろぎぬ。
2. くろのころも、僧衣、僧侶

[古辞書の訓]
名義抄〕緇 クロシ 〔字鏡集〕 クロキイロ・クロシ

[語系]
緇tzhitziは声近く、(し)は〔説文〕四下に「なり。二玄に從ふ」とあって、黒糸の束をいう。

[熟語]
緇衣緇帷緇褐緇冠緇衾・緇黄・緇撮・緇・緇純・緇人緇塵・緇素・緇緇涅・緇点・緇徒緇衲・緇髪緇鬢・緇布・緇服緇袍緇墨・緇麻・緇門・緇流緇侶・緇林・緇緇廬緇郎
[下接語]
衣緇・黄緇・緇・成緇・染緇・洗緇・禅緇・披緇・紡緇

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