高啓(読み)コウケイ(英語表記)Gāo Qǐ

デジタル大辞泉 「高啓」の意味・読み・例文・類語

こう‐けい〔カウ‐〕【高啓】

[1336~1374]中国、元末・明初の詩人蘇州江蘇省)の人。あざな季迪きてき。号、青邱せいきゅう江南風物・農民生活を描いた叙景詩や、歴史・伝説に取材した幻想的な詩を残す。

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精選版 日本国語大辞典 「高啓」の意味・読み・例文・類語

こう‐けいカウ‥【高啓】

  1. 中国、元末・明初の詩人。字(あざな)は季迪(きてき)。号は青邱子(せいきゅうし)。江蘇蘇州の人。明初、召されて元史修撰、翰林院編修・戸部侍郎となる。詩中に、宮中秘事を詠った事が禍となって、処刑される。著「高太史大全集」「鳧藻(ふそう)集」など。(一三三六‐七四

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改訂新版 世界大百科事典 「高啓」の意味・わかりやすい解説

高啓 (こうけい)
Gāo Qǐ
生没年:1336-74

中国,元末・明初の詩人。字は季迪(きてき),青邱,青邱子と号する。蘇州の人。数回の浙江地方への旅行と,一時期に南京の明王朝政府の官吏となったほかは,終身,蘇州の市内および近郊で一市民としてすごした。生涯の大部分は,蘇州を本拠として明と抗争した張士誠政権のもとにあり,明の太祖が独裁支配を確立するために起こした大テロルの犠牲となって殺された。短い生涯に,2000首以上の詩を残し,明代第一の詩人とされる。詩は,明るさ,知性哀愁,幻想性など多様な側面をそなえた豊饒さを特徴とし,王朝体制崩壊の間隙に芽ばえた,江南地方の都市住民の市民的自由の中で花咲き,それゆえに専制的な皇帝権力により圧殺されたのである。日本では江戸後期に作詩手本として流行し,数種の本が刊行された。代表作《青邱子歌》は森鷗外による雅文訳があり,明治以後,その近代性が注目されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高啓」の意味・わかりやすい解説

高啓
こうけい
(1336―1374)

中国、明(みん)初の詩人。字(あざな)は季廸(きてき)、号は青邱(せいきゅう)。蘇州(そしゅう)(江蘇省)の人。王行、徐賁(じょひ)ら北郭(ほくかく)十友と交わって早熟の詩才を誇り、在野の詩人として、当時の文化の中心蘇州で、目覚ましい活躍を示した。のち太祖に憎まれ、わずか38歳で刑死した。明でもっとも才能に恵まれた詩人で、あらゆる対象を2000首の詩に歌った。各時代の長所をよく消化して、詩意は平明、表現は淡泊あるいは華麗であるが、独自の風格を示すに至っていない。日本でも江戸時代以来、多くの愛読者をもつ。著に『高太史大全集』があり、清(しん)の金檀(きんだん)が注を施す。なお高啓は、楊基(ようき)、張羽、徐賁とともに、初唐四傑になぞらえて呉中四傑と称されたが、前者と同じく、この4人もみな不幸な死の運命を共有する。伝は『明史』文苑(ぶんえん)伝1に記される。

[福本雅一]

『入谷仙介注『中国詩人選集2集10 高啓』(1962・岩波書店)』『蒲池歓一著『漢詩大系21 高青邱』(1966・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高啓」の意味・わかりやすい解説

高啓
こうけい
Gao Qi

[生]至元2(1336)
[没]洪武7(1374)
中国,明初の詩人。長州 (江蘇省呉県) の人。字,季迪 (きてき) 。号,青邱。元末には張士誠の高官饒介 (ぎょうかい) の庇護を受けたが,仕えず淞江の青邱に隠棲した。洪武2 (1369) 年明の太祖に召されて『元史』の編纂に参加,翌年戸部侍郎に抜擢されたが固辞して帰郷。のち,蘇州に拠って明に最後まで抵抗した張士誠につながる文人を憎む太祖の捏造した事件に連座して,腰斬の刑に処せられた。詩文ともにすぐれているが,特に詩は明代を通じて第一ともいわれ,建安から盛唐までを宗とした明るく平易な詩風で,日本でも江戸時代,明治期を通じて広く愛読された。楊基,張羽,徐賁 (じょひ) とともに,「高楊張徐」とも「呉中の四傑」とも称される。作品は『高太史大全集』に収められている。

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百科事典マイペディア 「高啓」の意味・わかりやすい解説

高啓【こうけい】

中国,元末明初の詩人。蘇州の出身。字は季迪。元末の戦乱を避け,呉淞江の青邱に住み,青邱子と号した。明朝に招かれて《元史》編修に参加,のち一事件に連座し,刑死。前代詩家の長所を総合し,多様な詩を軽快平易に書いた。明初四傑の一人。代表作《青邱子歌》は森鴎外の訳がある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「高啓」の解説

高 啓
こうけい

1336〜74
明初期の詩人・学者
江蘇の人。号は青邱 (せいきゆう) 。洪武帝に仕えて『元史』を編纂 (へんさん) 。のちに官を辞したが,友人の罪に連座して斬罪に処せられた。近世中国の詩風を開いた。

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