線形虫類(読み)せんけいちゅうるい

精選版 日本国語大辞典 「線形虫類」の意味・読み・例文・類語

せんけいちゅう‐るい【線形虫類】

  1. 〘 名詞 〙 袋形動物の一綱とするか、あるいは類線形動物門の名称で、独立した門とする類。また、かつては線形動物・線虫動物・円形動物らの一目にされていたこともある。体は細長い針金状で、体表は厚いクチクラでおおわれる。雌雄異体。卵からかえった幼虫淡水産の昆虫の体内に寄生し、成体になると淡水中で自由生活する。この類のハリガネムシがカマキリの体内からでてくることはよく知られているが、これはハリガネムシの幼虫を宿した水生昆虫が親になって陸上に出て、それがカマキリに食われると、幼虫はカマキリの体内で栄養をとって成長し、親虫になると出てくるためである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「線形虫類」の意味・わかりやすい解説

線形虫類
せんけいちゅうるい

袋形(たいけい)動物門中の一綱Nematomorphaを構成する動物群。ハリガネムシ目Gordioideaと遊線虫目Nectonematoideaの2目に分けられ、前者は淡水中で自由生活をし、後者海産で浮遊生活をする。世界中で約240種、日本には8種ほどが知られている。

 体長は普通10~40センチメートルであるが、なかには1メートルになるものもある。体は細長い針金状で、表面の外皮には乳頭状、指状などさまざまな突起があって、種類を識別する大きな特徴になっている。体の先端は丸くて口があり、後端は丸いものや、2あるいは3葉に分かれている。循環器官、呼吸器官排出器官はない。消化管はあっても管の両端が閉じるか、なかには退化していて、食物を食べたり消化したりはしていないと思われる。

 雌雄異体で、ハリガネムシでは雌のほうが大きい。幼虫は、おもに直翅(ちょくし)類と甲虫類の昆虫の体内で成長し、宿主肛門(こうもん)付近に孔(あな)をあけて脱出し、水中で生活する。ニホンザラハリガネムシChordodes japonensis、カスリハリガネムシGordius japonicusなどが普通に産する。遊線虫類の種類は海産の甲殻類に寄生するが、まだ日本から知られていない。

[今島 実]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「線形虫類」の意味・わかりやすい解説

線形虫類
せんけいちゅうるい
Nematomorpha; gordian worm

袋形動物門線形虫綱に含まれる種類の総称。体長 10~40cmであるが,なかには 1mほどになるものもある。体は細長い針金状で,体表が厚いクチクラでおおわれるものと繊毛をもつものとがある。環節はない。体色は白,黄,暗褐色など。体の前端は丸く,後端は丸いかあるいは2~3葉に分岐する。循環器官,呼吸器官,排泄器官はない。口もなく,消化器官はあっても管の両端部が閉じるかまたは退化しているので,食物はとらない。ハリガネムシ類と遊線虫類に分けられ,前者の幼虫は昆虫類に寄生し,成体は淡水で自由生活をするが,後者は海産で,成体は浮遊生活をする。

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