袋形(たいけい)動物門中の一綱Nematomorphaを構成する動物群。ハリガネムシ目Gordioideaと遊線虫目Nectonematoideaの2目に分けられ、前者は淡水中で自由生活をし、後者は海産で浮遊生活をする。世界中で約240種、日本には8種ほどが知られている。
体長は普通10~40センチメートルであるが、なかには1メートルになるものもある。体は細長い針金状で、表面の外皮には乳頭状、指状などさまざまな突起があって、種類を識別する大きな特徴になっている。体の先端は丸くて口があり、後端は丸いものや、2あるいは3葉に分かれている。循環器官、呼吸器官や排出器官はない。消化管はあっても管の両端が閉じるか、なかには退化していて、食物を食べたり消化したりはしていないと思われる。
雌雄異体で、ハリガネムシでは雌のほうが大きい。幼虫は、おもに直翅(ちょくし)類と甲虫類の昆虫の体内で成長し、宿主の肛門(こうもん)付近に孔(あな)をあけて脱出し、水中で生活する。ニホンザラハリガネムシChordodes japonensis、カスリハリガネムシGordius japonicusなどが普通に産する。遊線虫類の種類は海産の甲殻類に寄生するが、まだ日本から知られていない。
[今島 実]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報