縁辺労働力(読み)えんぺんろうどうりょく

改訂新版 世界大百科事典 「縁辺労働力」の意味・わかりやすい解説

縁辺労働力 (えんぺんろうどうりょく)

そもそも労働力と非労働力との間には,これを一線で画するような明確な境界があるわけではなく,その間には家事就業を兼ね,就業は従な主婦を中心とした黒とも白ともつかぬ薄墨色の中間層があって,労働力と非労働力の間をたえず流動しているものである。その結果として,労働力はこの中間領域にある浮動層の断続的な労働市場への参加に応じて,たえず上下に揺れ動くことになる。こうした薄墨色の浮動層を縁辺労働力という。図は,この縁辺労働力が労働市場において景気変動に対するクッションの役割を演じている姿をみるために掲げたものである。ここにみるような女子就業者の大幅かつ急速な増減は,あらかた縁辺労働力の参入退出によってもたらされたものである。そのため女子の失業は,女子雇用の激減する景気後退期にも目だって増加することは少なく,かえって景気回復期に女子の雇用が伸びだしたときに増加する傾向が認められる。縁辺労働力の主力は,昭和30年代には農家の主婦であったが,全国的な都市化と都市におけるパートタイマーの職場の拡大のため,近時では都市勤労者世帯の主婦に移っている。
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人事労務用語辞典 「縁辺労働力」の解説

縁辺労働力

「縁辺労働力」とは、経済情勢の変動に影響されて労働市場への参入と退出を繰り返し、労働力になったり非労働力になったりする就業形態が不安定な層のことです。具体的には、パートタイマー・派遣労働者臨時工などを指します。これに対し、終身雇用であるなど学校卒業から定年退職まで常に労働市場の内部にいて、経済情勢の変化に大きな影響を受けない労働者層のことを基幹労働力、あるいは中核労働力と呼びます。
(2013/10/11掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の縁辺労働力の言及

【労働市場】より

…また,労働市場に本来なら現れない非労働力である家庭の主婦や老齢者が,家計収入の補助を目的として労働市場へ参入することが多い。このような非労働力と労働力との間を出入りする家庭の主婦や老齢者を縁辺労働力と呼ぶ説もあるが,これらの層の労働力率の変動は,経済の短期変動にとって無視できない労働供給源である。
[労働需給の質的変動]
 ところで,労働需要は産業構造の高度化や技術的進歩によって質的構造が変化する。…

※「縁辺労働力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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