纏う(読み)マトウ

デジタル大辞泉 「纏う」の意味・読み・例文・類語

まと・う〔まとふ〕【×纏う/絡う】

[動ワ五(ハ四)]
身につける。着る。「ドレスを身に―・う」「ぼろを―・う」
からまる。巻きつく。また、からみつかせる。
「矢のあな刀のきずある白骨、収むる人もなければ、苔に―・はれて」〈太平記・九〉
[可能]まとえる
[類語]着るはくかぶる羽織る着込む着こなす突っかける着けるちゃくする着用する引っ掛ける身ごしらえする身仕舞いするよそお召す召される・お召しになる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「纏う」の意味・読み・例文・類語

まと・うまとふ【纏・絡】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙 まきつく。からみつく。からまる。まつわる。
    1. [初出の実例]「親の綾錦にまとはれて、清らを好み、かたちを繕ひて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. まきつくようにする。からみつかせる。また、絶えず側近くに置いて離さないようにする。
      1. [初出の実例]「をのれがすねをまとひてばためく所を」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)下)
    2. 身につける。着用する。
      1. [初出の実例]「加沙を頸に繞(マト)ひ身に覆へ」(出典:南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)二)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 [ 二 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「上妙の兜羅綿を以て身にへ」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)

まつ・うまつふ【纏】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙まとう(纏)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「若し上の枢(とぼそ)壊れば、皮を以て縺(マツフ)こと聴(ゆる)す」(出典:小川本願経四分律平安初期点(810頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android