着する(読み)チャクスル

デジタル大辞泉 「着する」の意味・読み・例文・類語

ちゃく・する【着する/著する】

[動サ変][文]ちゃく・す[サ変]

目的地に行き着く。到着する。
浦賀に―・するや否や」〈福沢福翁自伝
㋑付着する。ぴったりと付く。「衣服に泥が―・する」
㋒《古くは「ぢゃくする」》ある物事に深く心を向ける。気をとられる。執着する。
「わが位に―・するが為に此大道を解し得ぬ」〈漱石野分

㋐衣服などを身につける。まとう。着用する。「制服を―・する」
視線を向ける。気をつけて見る。注目する。
只管ひたすら政府に眼を―・し」〈福沢学問のすゝめ
[類語]着るまとう着ける着用する羽織る引っ掛ける身ごしらえする身仕舞いするよそおはくかぶる着込む着こなす突っかける尊敬召す召される・お召しになる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「着する」の意味・読み・例文・類語

ちゃく‐・する【着・著】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]ちゃく・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. いたりつく。いたる。とどく。到着する。
      1. [初出の実例]「天童十人出現して、舟をになひて岸に着しけり」(出典:古今著聞集(1254)二)
    2. 互いにぴったりとくっつく。付着する。また、人・物などが一定の地点などに静止する。とどまる。
    3. じゃくす(着)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]ちゃく・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 衣服などをきる。まとう。着用する。また、携帯品などを身につける。持つ。携行する。
      1. [初出の実例]「既に髪を剃り法衣を着(ちゃく)せり」(出典今昔物語集(1120頃か)一)
      2. 「君の御琵琶は束帯ただしくしたる人の折ゑぼし着したるに似させ給たる」(出典:古今著聞集(1254)一五)
      3. 「当家の号衣を披(チャクシ)たるゆゑ」(出典:読本忠臣水滸伝(1799‐1801)前)
    2. 視線などをあるものに注意して向ける。
      1. [初出の実例]「縺れたる糸の片端も眼を着(チャク)すれば只一筋の末とあらはるるに過ぎぬ」(出典:野分(1907)〈夏目漱石〉一)

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