日本大百科全書(ニッポニカ) 「羽須美」の意味・わかりやすい解説
羽須美
はすみ
島根県中南部、邑智郡(おおちぐん)にあった旧村名(羽須美村(むら))。現在は邑南町(おおなんちょう)の南東部を占める地域。1957年(昭和32)口羽(くちば)、阿須那(あすな)の2村が合併して成立。2004年(平成16)瑞穂町(みずほちょう)、石見町(いわみちょう)と合併、邑南町となる。旧村域は広島県に隣接する。2018年に廃線となったJR三江(さんこう)線の宇都井(うづい)駅は、高さ30メートルの橋上にある無人駅であった。また、広島県三次(みよし)市との境界に国道375号が通じる。江戸時代は浜田藩領。阿須那牛馬市は古代から江戸時代まで行われ、中国地方三大家畜市の一つであった。たたら製鉄、木炭生産が行われたが、現在は高冷地野菜栽培のほか、アユやコイの養殖が盛んで、県内のほか広島、大阪にも出荷される。過疎対策としてリゾートセンターを設置、観光地化を進めている。伴蔵(ばんぞう)山にあるリゾート公園「自然回帰高原」の休養施設からの雲海は美しい。1979年に31年ぶりに伝統の花田植が復活した。
[野本晃史]