耳の痛みのこと。外耳,中耳の炎症の症状として起こる場合と,耳の疾患以外の原因で起こる場合とがある。外耳の炎症による耳痛では,耳介をひっぱったり押したりすると痛みが強くなる。外耳道は,軟骨に直接皮膚がはった構造のため,皮下組織が少なく,炎症により膿汁がたまると軟骨膜と皮膚を刺激して強い痛みとなる。中耳の炎症(中耳炎)による耳痛では,同時に難聴が起き,大きな音の刺激で痛みが強くなる。中耳の炎症では,中耳に膿汁がたまり,鼓膜を刺激して痛みとなる。外耳,中耳の炎症のいずれでも,皮膚や鼓膜が自壊して排膿が起これば耳痛は軽くなる。内耳の炎症では,耳痛よりも頭痛となることが多く,激しいめまいと難聴をともなう。舌咽神経の分布する領域の炎症でも耳痛を起こすことがある。咽頭(のど),舌の後部,大臼歯などの炎症の場合である。耳と接する部分の炎症も,顎関節,耳下腺などの炎症の場合のように耳痛として自覚されることがある。
→耳
執筆者:矢野 純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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