日本大百科全書(ニッポニカ) 「職業集団」の意味・わかりやすい解説
職業集団
しょくぎょうしゅうだん
occupational group
職業を結合契機として形成される集団。同じ職種の職業に従事している人たちの組織する同業者の集団もあれば、関連しあった職種の職業に従事している人々の組織するものもある。職業集団は、職業上の利害、運命、境遇、生活習慣などを等しくする人々が、職業上の利益を擁護し、追求するとともに、相互扶助を図る組織であり、職業の同一性ないし類似性とともに、職業活動を遂行するうえでの利害関係の共通性の認識、職業上の目的や価値観の共有性の確認、あるいは、職業へのアイデンティティの感情などが結合契機として働いている。そこで職業集団の成員の間には、集団形成の持続性や凝集性に応じて、それぞれ特有の下位文化が醸成され、独自の生活様式がつくりあげられている。弁護士や医者などの専門的職業従事者が組織する職能団体や、商工自営業者などが組織する協業組合や同業組合などは、その代表的なものである。
職業集団は、それぞれの職業上の利益を追求するために、圧力団体となって政治過程に働きかけ、それによって、対立する職業集団との競合、調整、協調を進める、という機能を果たす。同時に、このような機能を果たすために、集団存立の法的規制、その他のさまざまな手段に訴えて、より高い社会的認知を獲得しようとする。そのため、集団内部に対して拘束力の強い措置がとられ、個々の成員の職業活動を規定している。
[本間康平]