胡鬼の子(読み)コギノコ

精選版 日本国語大辞典 「胡鬼の子」の意味・読み・例文・類語

こぎ【胡鬼】 の 子(こ)

  1. 新年の遊戯の羽根突きに用いる羽根。初春に羽根突きをすると、夏になって蚊に刺されないという俗信から、蚊除けの呪(まじない)として、蚊を食うトンボの姿に似せてつくられたものともいう。羽子(はご)つくばね。こぎ。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「こきの子勝負分方、男方勝、女中負態則張行」(出典:看聞御記‐永享四年(1432)正月五日)
  2. ( 実の先に四枚の葉状の苞(ほう)がなり、に似ているところから ) 植物つくばね(衝羽根)」の異名。また、その実をもいう。《 季語・秋 》 〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胡鬼の子」の意味・わかりやすい解説

胡鬼の子
こぎのこ

羽根突きに使う羽根。羽子(はご)、羽子の子などともいう。「胡」は西域(せいいき)の地をいい、そこに住む鬼の子の意であるが、これは当て字である。今日ではこの羽根をムクロジの実でつくるが、もともとはこの羽根が、コギノコ(ツクバネの実)に穴をあけ、鳥の羽をさしてつくったことによる名であった。一条兼良(かねら)の『世諺(せげん)問答』などに、カに食われぬ呪(まじな)いとして、「こぎのこ」と唱え、カの嫌うトンボ頭にかたどった羽根を突くとあるように、カ除(よ)けの遊びでもあったことが知られる。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android