能登川・岩井川(読み)のとがわ・いわいがわ

日本歴史地名大系 「能登川・岩井川」の解説

能登川・岩井川
のとがわ・いわいがわ

能登川は春日山香山こうぜんより発し、白毫寺びやくごうじ町の北から紀寺きでら町を経て大安寺だいあんじ町南方で岩井川に合流する。天平勝宝八年(七五六)の東大寺山堺四至図(正倉院蔵)に、香山東南に「能登川源」と記載される。岩井川は高円たかまど山の東南に発し、古市ふるいち町の北を西流、古く飯合いいあい川ともいった。両川はいずれも奈良盆地に出る地点で大小扇状地を形成、小天井川をなしつつ佐保川流入古来灌漑用水として重きをなした。

<資料は省略されています>

「経覚私要鈔」の「能登岩井河用水記」には応永二七年(一四二〇)の番水について次のとおり記している。

<資料は省略されています>

これによると同年の第一回目の番水の初反(第一番目か)は四月三日に越田尻こしたしり庄に始まり五月一六日に京南きようなん庄で終わり、次いで第二回目の番水が始まる。また漑水のない日もうかがえる。以上は例示である。

同用水は建久二年(一一九一)にさかのぼりうるので(興福寺公文所下文)平安期以来の用水と考えられるが、漑水荘園六ヵ庄は毎年申文を提出して番水を競望している。その間に先例もつくられたが、「大乗院雑事記」の文明一七年(一四八五)六月の「能登岩井両河用水相論条々」にはその成敗の次第として、「於此川者以仏生三橋、神殿二个庄為本、其次畑森(一乗院)新庄・越田尻追巡漑之」、また「神殿庄ハ両川之根本之水主也、三橋准之」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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