丸ダイズあるいは脱皮ダイズの温湿度を調整後フレーク化し,ついで脱脂加工をしたもので,通常1%以下の油を含有する。工場製造には,n-ヘキサンを溶媒とし,一般には連続水平式抽出機を用いて脱脂する。溶剤をとり除くためには,完全加熱を要するものは脱溶剤兼焙焼(ばいしよう)機,熱変性を嫌うものはフラッシュ式脱溶剤装置,脱臭ストリッパー装置,蒸気脱溶剤真空脱臭装置などが用いられる。この熱変性程度に準じて,(1)未変性,(2)低温変性,(3)高温変性に分類される。熱変性程度は,脱脂ダイズ粉から全窒素化合物の溶解する度合,すなわち窒素溶解指数(NSI)に影響し,植物性タンパク質原料など食品用にはNSIの高い未変性,低温変性など熱損傷の少ないものが用いられる。逆に飼料用としては,熱処理によってダイズ中の生理活性物質が完全に不活性化した高温変性フレークまたは粉が用いられる。最近はヘキサン-エタノール共沸混合溶媒での脱脂も試みられている。エタノールを用いるとにおい成分が減り,また未消化炭水化物により生ずる腸内ガス発生が少なくなるが,タンパク質の変性度が増し,凝固性に変化を生ずる。脱脂ダイズは約90%まで飼料用である。残りの食品用のうち約半分はしょうゆに用いられるほか,そのままあるいは植物性タンパク質(分離タンパク質,濃縮タンパク質,抽出タンパク質,粒状タンパク質,繊維状タンパク質)として食品素材化し,畜肉加工品,乳加工品,水産練製品,惣菜加工品,パン菓子類などとして利用される。
なお,脱脂ダイズに関連する用語としては,全脂ダイズ粉(未脱脂の粉末),低脂ダイズ粉(脱脂ダイズに適宜脂質を再添加した粉末),レシチン添加ダイズ粉(脱脂ダイズ粉にレシチンを再添加した粉末)などがある。
執筆者:斎尾 恭子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
脱脂処理大豆ともいう。ダイズに含まれる脂肪を取り除いたもの。種皮付きのものと、脱皮したものがある。大豆油製造の際の副産物で、大豆油かす、大豆かすともよばれた。おもな用途は飼料であるが、大豆タンパクや食品加工など用途が広くなってきている。
[河野友美]
乾燥大豆には約20%の脂肪が含まれている。この脂肪をダイズから取り出すのに圧搾法と溶出法がある。圧搾法では油の収量が低いため近年はヘキサンなどの溶媒を用いた溶出法が用いられ、脱脂大豆には1~2%の脂肪しか残らない。溶出後、溶媒を取り除くために加熱されるが、このときの処理法によって、脱脂大豆の品質が左右される。つまり加熱することによって、脱脂大豆に含まれるタンパク質が熱変性を受ける。この熱変性の程度によって、得られた脱脂大豆を未変性、低温変性、高温変性に分けることができる。脱脂大豆が飼料として使われる場合には熱変性は問題にならないが、食品加工素材(しょうゆ、みそ、アミノ酸液など)や大豆タンパク用では未変性あるいは低温変性のものが必要である。さらに、脱溶剤の処理法によって大豆臭を少なくすることもできる。
脱脂大豆はフレークや粉末状のものとして製品化される。用途によって、脂肪を再添加した低脂大豆粉や、レシチン添加大豆粉などに再加工されることもある。脱脂大豆を原料に大豆タンパクや大豆タンパク食品などもつくられている。また、しょうゆ、みその材料としても使われる。脱脂大豆の利用が飼料以外に拡大するにつれ、用途にあった品質に脱脂加工されるようになってきている。
[河野友美]
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