脱脂大豆(読み)ダッシダイズ

デジタル大辞泉 「脱脂大豆」の意味・読み・例文・類語

だっし‐だいず〔‐ダイヅ〕【脱脂大豆】

大豆から脂肪を取ったあとのもの。大豆たんぱく・味噌醤油などの原料や、飼料肥料として用いる。大豆かす豆粕

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精選版 日本国語大辞典 「脱脂大豆」の意味・読み・例文・類語

だっし‐だいず‥ダイヅ【脱脂大豆】

  1. 〘 名詞 〙 大豆から油を搾り取った粕。蛋白質含有量が高く(四一~四四パーセント)、蛋白質源として特に重要。味噌、醤油、菓子、腸詰めなどの原料。飼料、化学調味料、プラスチック接着剤などにも広く用いられる。大豆粕。豆粕。
    1. [初出の実例]「脱脂大豆のフライパンで煎ったのなど与えると」(出典:焼け跡闇市派宣言(1969)〈野坂昭如〉七)

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改訂新版 世界大百科事典 「脱脂大豆」の意味・わかりやすい解説

脱脂ダイズ(大豆) (だっしだいず)
defatted soybean meal

ダイズあるいは脱皮ダイズの温湿度を調整後フレーク化し,ついで脱脂加工をしたもので,通常1%以下の油を含有する。工場製造には,n-ヘキサン溶媒とし,一般には連続水平式抽出機を用いて脱脂する。溶剤をとり除くためには,完全加熱を要するものは脱溶剤兼焙焼(ばいしよう)機,熱変性を嫌うものはフラッシュ式脱溶剤装置,脱臭ストリッパー装置,蒸気脱溶剤真空脱臭装置などが用いられる。この熱変性程度に準じて,(1)未変性,(2)低温変性,(3)高温変性に分類される。熱変性程度は,脱脂ダイズ粉から全窒素化合物の溶解する度合,すなわち窒素溶解指数(NSI)に影響し,植物性タンパク質原料など食品用にはNSIの高い未変性,低温変性など熱損傷の少ないものが用いられる。逆に飼料用としては,熱処理によってダイズ中の生理活性物質が完全に不活性化した高温変性フレークまたは粉が用いられる。最近はヘキサン-エタノール共沸混合溶媒での脱脂も試みられている。エタノールを用いるとにおい成分が減り,また未消化炭水化物により生ずる腸内ガス発生が少なくなるが,タンパク質の変性度が増し,凝固性に変化を生ずる。脱脂ダイズは約90%まで飼料用である。残りの食品用のうち約半分はしょうゆに用いられるほか,そのままあるいは植物性タンパク質(分離タンパク質,濃縮タンパク質,抽出タンパク質,粒状タンパク質,繊維状タンパク質)として食品素材化し,畜肉加工品,乳加工品,水産練製品,惣菜加工品,パン菓子類などとして利用される。

 なお,脱脂ダイズに関連する用語としては,全脂ダイズ粉(未脱脂の粉末),低脂ダイズ粉(脱脂ダイズに適宜脂質を再添加した粉末),レシチン添加ダイズ粉(脱脂ダイズ粉にレシチンを再添加した粉末)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「脱脂大豆」の意味・わかりやすい解説

脱脂大豆
だっしだいず

脱脂処理大豆ともいう。ダイズに含まれる脂肪を取り除いたもの。種皮付きのものと、脱皮したものがある。大豆油製造の際の副産物で、大豆油かす、大豆かすともよばれた。おもな用途は飼料であるが、大豆タンパクや食品加工など用途が広くなってきている。

[河野友美]

製造と利用

乾燥大豆には約20%の脂肪が含まれている。この脂肪をダイズから取り出すのに圧搾法と溶出法がある。圧搾法では油の収量が低いため近年はヘキサンなどの溶媒を用いた溶出法が用いられ、脱脂大豆には1~2%の脂肪しか残らない。溶出後、溶媒を取り除くために加熱されるが、このときの処理法によって、脱脂大豆の品質が左右される。つまり加熱することによって、脱脂大豆に含まれるタンパク質が熱変性を受ける。この熱変性の程度によって、得られた脱脂大豆を未変性、低温変性、高温変性に分けることができる。脱脂大豆が飼料として使われる場合には熱変性は問題にならないが、食品加工素材(しょうゆ、みそ、アミノ酸液など)や大豆タンパク用では未変性あるいは低温変性のものが必要である。さらに、脱溶剤の処理法によって大豆臭を少なくすることもできる。

 脱脂大豆はフレークや粉末状のものとして製品化される。用途によって、脂肪を再添加した低脂大豆粉や、レシチン添加大豆粉などに再加工されることもある。脱脂大豆を原料に大豆タンパクや大豆タンパク食品などもつくられている。また、しょうゆ、みその材料としても使われる。脱脂大豆の利用が飼料以外に拡大するにつれ、用途にあった品質に脱脂加工されるようになってきている。

[河野友美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脱脂大豆」の意味・わかりやすい解説

脱脂大豆
だっしだいず
defatted soybean

大豆から大豆油を抽出した残りで,薄片状となっているのが普通。蛋白質に富むが,大豆油抽出工程で高温を受けて蛋白質が変性している場合と,低温で処理して変性していないものとがある。用途は飼料用が多く,食料用にもなる。以前は窒素肥料として使われたが,化学窒素肥料の普及によって,肥料用よりも飼料用として使われる。食料用としては,低温処理の脱脂大豆が好まれ,味噌,醤油,豆腐,アミノ酸,調味料などの原料や大豆蛋白カードにし,あるいは加工を施してパン,菓子,ソーセージなどにも混入して用いる。

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