化学調味料(読み)カガクチョウミリョウ(英語表記)chemical seasoning

デジタル大辞泉 「化学調味料」の意味・読み・例文・類語

かがく‐ちょうみりょう〔クワガクテウミレウ〕【化学調味料】

旨み調味料」の旧称。
[類語]調味料旨み調味料甘味料香辛料香味料香料スパイス

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精選版 日本国語大辞典 「化学調味料」の意味・読み・例文・類語

かがく‐ちょうみりょうクヮガクテウミレウ【化学調味料】

  1. 〘 名詞 〙 鰹節、昆布などの天然のうまみ成分を、化学的に合成して工業的に製造したもの。昆布のうまみの成分であるグルタミン酸ナトリウム、鰹節のうまみの成分であるイノシン酸ナトリウムなど。

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改訂新版 世界大百科事典 「化学調味料」の意味・わかりやすい解説

化学調味料 (かがくちょうみりょう)
chemical seasoning

化学的あるいは酵素的に処理して得られる天然物のうま味成分,またはそれらのいくつかを混合した調味料。食物の味には,甘,塩,酸,辛,苦の5味があり,さらにこれらで表せない6番目の味にうま味がある。日本でも西洋でも,料理の基本はまずだし作りである。たとえば,日本ではコンブや鰹節を湯で煮てだしをとり,西洋では鶏がらや貝を湯で煮てスープをとる。だしやスープの中にはひじょうに美味なうま味がある。ところで,化学の発達により,だしやスープに含まれているうま味の本体がわかるようになった。コンブのうま味はグルタミン酸,鰹節のうま味はイノシン酸,貝のうま味はコハク酸である。また鶏がらのうま味はグルタミン酸やイノシン酸などの複合したものである。そこで,これらのうま味の本体を塩やコショウのように手軽に調味料として利用しようということが考えられた。こうしてグルタミン酸が1908年,日本のメーカーによりいち早く商品化され発売されたが,これに対し,他のうま味成分の化学調味料化はかなり遅れた。その理由は,グルタミン酸がアミノ酸の一種であり,タンパク質を加水分解するという製法がひじょうに簡単であったこと,また原料の小麦グルテンが安価であったことによる(現在は微生物による発酵法で生産)。グルタミン酸の次に商品化されたのはイノシン酸で,これも日本のメーカーによって企業化された。1960年代になって,生化学の一分野である分子生物学が著しく進歩し,微生物における物質の生合成の機構の解明が進んだ。さらに人為的に生合成を調節できるようになったため,発酵法によってイノシン酸を安価に製造できるようになり,企業化が進んだ。うま味成分は単独よりも複合して用いると,味に相乗作用がでていっそう美味になる。そこで複合調味料(グルタミン酸に核酸系調味料であるイノシン酸あるいはグアニル酸を混合したもの)や風味調味料(化学調味料に鰹節,コンブ,シイタケなど天然だし原料の粉末やエキスなどを混合したもの。顆粒(かりゆう)と液体とがある)なども各種開発されている。化学調味料は食品添加物の一群として扱われるが,安全性が高いので使用規定はない。しかし一時に多量摂取すると異常を起こすことがあるので注意を要する。
執筆者:

現在,調味料全体のうち約2割が化学調味料であるが(出荷額ベース),その大半を占めるのがグルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ,略してグル曹ともいう)である。これがコンブのうま味の正体であることをつきとめ,1908年特許をとったのが池田菊苗である。池田の依頼を受けた2代目鈴木三郎助は自身で創業した鈴木製薬所(現,味の素(株))で製造,08年11月〈味の素〉の名で売り出した。当初はまったく売れず,軌道に乗ったのは10年近くたってからである。その後56年,協和醱酵工業がデンプンの加水分解糖などを原料に微生物の働きでグルタミン酸をつくる〈発酵法〉を開発した。これによって大量生産が可能になり,各社とも製法転換をすすめたが,この過程で業界の集約化がすすんだ。現在,メーカーは4社で,生産量では味の素が過半のシェアを占め,以下旭化成工業,協和醱酵工業,武田薬品工業の順になっている。いうまでもなく日本が世界最大の生産国である。需要はかつては輸出も多かったが,現在は内需が9割近くを占め,その内訳は家庭用4割弱,業務用6割強(大半が食品加工用,ほかに飲食店用)となっている。近年の生産量はピークだった69年の10万1000tに比べると8~9割の水準に落ち込んでいる。この要因としては,(1)諸外国で生産が開始され(日本企業の現地生産を含む),輸出が大幅に減ったこと,(2)消費の高度化につれ,単一の味付けがあきられ,国内需要も横ばいであることがある。このため各社は海外生産体制の強化,複合調味料や風味調味料など,より深みのある味の出せる調味料への多角化を進めている。
調味料
執筆者:

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百科事典マイペディア 「化学調味料」の意味・わかりやすい解説

化学調味料【かがくちょうみりょう】

コンブ,かつお節などのうま味成分の代表的なものを抽出または化学的に合成した調味料。コンブのグルタミン酸ナトリウム,かつお節のイノシン酸ナトリウム,シイタケのグアニル酸ナトリウム,貝類のコハク酸ナトリウムなどがあり,これらを混合した複合化学調味料もつくられている。消費者の天然志向に対応して1980年代後半から,メーカー側は〈うま味調味料〉という名称を採用しはじめた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「化学調味料」の意味・わかりやすい解説

化学調味料
かがくちょうみりょう

人工調味料の一種で,天然のうまみ成分を工業的に生産したもの。現在は微生物を利用する発酵生産が多い。従来用いられてきた化学調味料としては,1908年池田菊苗によりこんぶのうまみから発見されたグルタミン酸ソーダをはじめコハク酸,コハク酸ソーダがあるが,近年核酸系調味料として,12年小玉新太郎によりかつお節のうまみ成分として発見された5′-イノシン酸ソーダと,60年国中明らによりしいたけのうまみから認められた5′-グアニル酸ソーダも用いられている。市販の化学調味料は,この両者を混合して味覚上の相乗効果を高めた複合調味料が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「化学調味料」の意味・わかりやすい解説

化学調味料
かがくちょうみりょう

料理にうま味をつけるための調味料。グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系、イノシン酸ナトリウムなどの核酸系、複合タイプがある。うま味調味料ともいう。

[山口米子]

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栄養・生化学辞典 「化学調味料」の解説

化学調味料

 →うま味調味料

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