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脱離反応 だつりはんのう

大辞林 第三版の解説

だつりはんのう【脱離反応】

一個の分子中から、二個の原子または原子団が分離する反応。特に有機化合物では、隣り合った炭素原子に結合する二個の原子または原子団が離れて、炭素間の二重結合または三重結合ができる反応。エタノールの脱水によるエチレンの生成は、その例。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脱離反応
だつりはんのう
elimination reaction

有機化合物から簡単な分子がとれて他の有機化合物に変化する反応の総称。
 たとえば、次に示す反応は、ブロモエタンから臭化水素がとれてエチレンを生成する脱離反応である。

 脱離反応のうち、エタノール(エチルアルコール)からエチレンを生成する反応のように水が脱離する反応を、脱水反応という。脱離反応は、この例のように、とれていく化合物により分類して命名することができる。脱ハロゲン化水素反応、脱炭酸反応(脱カルボキシル化反応)などはその例である。
 脱離反応は狭義では、飽和化合物から簡単な分子がとれてオレフィン(アルケン)を生成する反応をいう。この反応は、一次反応であるE1脱離機構、または二次反応であるE2脱離機構を経て進行する。E1機構による脱ハロゲン化水素は炭素陽イオンを経て進むが、E2脱離はハロゲン原子がとれるのと同時にちょうど反対側(トランス)の位置の水素原子が塩基により引き抜かれる経路で進行する(図A)。
 代表的な脱離反応の例を以下に示す。
(1)脱ハロゲン化水素反応 先に示したブロモエタンから臭化水素が脱離してエチレンを生成する反応がこの例にあたる。この種の反応は実験室でハロゲン化ビニルをつくるのにも利用される。

脱ハロゲン化水素反応は、生成するハロゲン化水素を中和する塩基がないと円滑に進まないので、通常、水酸化アルカリ、ナトリウムアルコキシド、ピリジンなどの塩基の存在下で行う。
(2)脱ハロゲン反応 同じ分子内の隣接炭素原子上からそれぞれ1個ずつ(合計2個)のハロゲンが脱離して炭素‐炭素不飽和結合を生成する反応で、亜鉛、マグネシウム、ヨウ化アルカリなどの還元剤により進行する(図B)。
(3)脱水反応 脱水反応とは、一般には有機化合物の分子内および分子間から水がとれる反応をいうが、脱離反応として重要なのは、アルコールの脱水によりオレフィンを生成する反応であり、硫酸、リン酸、五酸化リンなどの酸の存在下で進行する。

(4)ホフマン分解 アルキルトリメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩を水酸化ナトリウムなどのアルカリにより分解する反応である。この反応は、アンモニウム塩だけでなくスルホニウム塩(たとえばCH3-CH2S+(CH3)2)の場合にも進行する。
[廣田 穰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の脱離反応の言及

【化学反応】より

付加反応は注目している原子の結合数が増加する反応である。脱離反応は注目している原子の結合数が減少する反応である。そして,転位・異性化反応は分子内の原子,原子団の結合順序が変化する反応である。…

【有機化学反応】より

…反応物の一部が脱離して不飽和化合物が生成する。一般式ではアルコールの脱水によるアルケンの生成はよく知られた脱離反応の例である。転位rearrangement反応では,反応物と生成物の分子式は等しいが,結合の切断と生成によって反応物の異性体が生じる反応である。…

※「脱離反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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