六訂版 家庭医学大全科 「膝関節脱臼」の解説
膝関節脱臼
しつかんせつだっきゅう
Knee dislocation
(外傷)
どんな外傷か
膝関節の相対する
非常に大きな外力、たとえば交通外傷や、最近はスポーツ外傷でもみられます。膝関節の安定性は前後内外、その他の多くの
さらに重要な問題として、脱臼に合併して膝の後方の重要な血管・神経を損傷することもまれではなく、その場合、緊急手術が必要になります。
原因は何か
膝関節脱臼の分類は
たとえば膝関節後方脱臼は、膝関節を90度前後の屈曲位で脛骨近位端に前方から強い外力を受けた膝に発生し、
症状の現れ方と診断
症状は、受傷直後に激烈な疼痛があり、膝は明らかに変形しています。ただちに救急車で病院へ行くべきです。診断は、脱臼のままで来院すれば容易ですが、受傷直後あるいは受診までに手で整復されていた場合は、著明なはれと関節の動揺性および受傷状況から診断されます。
最も重要なことは血管損傷の有無です。膝の後方の
診断は、まず足部で動脈の拍動を触れることで、確定診断には緊急に血管造影を行います。血管損傷があれば緊急手術で血管再建手術を行います。
神経損傷の合併は
治療の方法
膝の脱臼に対する治療は、まず手で整復を行います。脱臼肢位と動揺性から損傷された靭帯が確定されます。手による整復が不能の場合には、緊急に、手術によって整復します。
手による整復後はキプスシーネ固定で整復位を保ち、そのあとで損傷された靭帯の再建術を行います。しかし、靭帯損傷のほかに膝関節部での骨折の合併や、
治療成績、予後は、合併損傷がなく靭帯損傷だけの場合は比較的良好で、正座や和式トイレ以外は日常生活に支障はないこともあります。合併損傷が多ければ、関節
中川 研二
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報